ソーシャルメディアでは様々なことが流行する。
疑問を抱くようなもの(有害なものも)も多くあるが、中にはとても役立つアイデアもある。
ウェルネスの世界でも、2022年にはたくさんのトレンドが生まれ注目を浴びた。こうしたヘルストレンドが現代の人々の間で注目されているのには正当な理由があり、ただの「トレンド」で終わる必要はない。逆に、さらに継続し、探求すべきものだ。
ヨガインストラクターのリンジー・モナルさんは、メンタルヘルスであれフィットネスであれ、自分が好きで、日々続けられるトレンドを取り入れることが重要だと話す。
そこで、専門家が選んだ、2022年のメンタルヘルス・トレンド5選を紹介しよう。
1. 他の人を喜ばせるのをやめる「ヴィラン(悪役)時代」
TikTokで「villain era(ヴィラン時代)」と検索するだけで、人を喜ばせることをやめ、いわゆる「ヴィラン(悪役)時代」を迎えた人々の動画が何千と出てくる。
企業ウェルネスサポート企業でビジネスリーダーのコーチなどを務めるサラ・サーキスさんは、仕事のストレスや家庭でのプレッシャーなどによるバーンアウトがこのトレンドの背景にあると指摘する。
「自分より他の人のニーズを優先することが当然という長年の流れを逆流させる動きが始まっています」
一方、健康的な境界線を設定する人々を「ヴィラン」と呼ぶのは適切ではないとサーキスさんは指摘する。
「傾向自体は良い流れですが、他人を喜ばせることから距離を置き、自分のニーズと幸せを優先することを『悪者』にすべきではありません」
2. インナーチャイルドを癒す
TikTokでは、人々が子ども時代の辛い出来事を率直に認め、その体験と折り合いをつける、というトレンドも見られた。
「トラウマについてオープンに話し、インナーチャイルドを癒していくことは、これまで見たことないほど多くの深い会話を生み出しました」とメンタルヘルスカウンセラーのジェネシス・ゲームズさんは述べた。
彼女は、インナーチャイルドが癒しを必要としていると認めるのは素晴らしい第一歩だという。それをさらに進めたいアダルトチルドレンは、両親や保護者と子ども時代の経験について会話することができる。
会話をして、親は当時最善を尽くしていたのかもしれないと分かったり、親が自分の痛みを認めてくれたと知ったりするだけでも、癒やしのプロセスに大きな意味がある、とゲームズさんは話す。
3.「抵抗」としての休息
心理学者でウェルネスプラットフォーム「The Black Girl Doctor」の創設者であるタイーシャ・カルドウェル=ハーヴィーさんは、「私はこのトレンドが大好きで、抑圧や家父長制など、あらゆることに対する抵抗の手段として、昼寝したり、自分を満たすことをするこのトレンドをもっと広めたい」と言う。
このトレンドでは、多くのInstagramやTikTokの投稿で、休息が「非生産的」や「怠慢」であるという考え方に疑問を投げかけている。
カルドウェル=ハーヴィーさんは、休息をとることは「生産的で活動的なこと」と述べ、喜びを感じること(休息のような)を意図的に行うことは、生産的な時間の使い方であると加えた。
このトレンドは、2022年SNS上で称賛されたが、実際に「休息する方法」を知っているのは一握りだ。カルドウェル=ハーヴィーさんは、クライアントの多くは、休息は何かという正確な説明が必要だったという。つまり、掃除や食器洗い、雑用などをこなすことではなく、睡眠、昼寝、ソファでゆっくり本を読むなど、自分を満たすために必要なことをすることだ。
4. 診断についてオープンに話す
これは年々広まっているが、特に2022年は多くの人がTikTokでメンタルヘルスに関する診断を共有していたとゲームズさんは話す。内容は、双極性障害の治療を求めたきっかけについてや、自分のADHDの特徴についてなど様々だ。
「これにより、精神的な理由でセラピーに通うことや薬を服用することについての偏見や羞恥心、罪悪感が一部軽減されてきていると思います」とゲームズさんは話す。
こうした動画は、実際の当事者が顔を見せオープンに話すことで、自閉症や産後うつなど、偏見を持たれやすい診断をより可視化するのに役立っているという。
また、あらゆる疾患を持つ人々に、エビデンスに基づいた治療によって人生を改善できることをリマインドしてくれる良い方法だ、とゲームズさんは指摘する。
しかし、正式な診断を受けるには、TikTokではなく医療専門家の診察が必要だと覚えておくことは重要だ。アプリでは、知識やコミュニティ、そしてサポートを得ることができる。
5. 黒人女性=強い、という偏見の放棄
「強い黒人女性」という偏見がなくなったわけではない。しかしカルドウェル・ハーヴィさんは、SNSやクライアントの間で、こういった偏見やプレッシャーを取り払っている人々が増えていると言う。
「私たちはいつも、自分の視点で物事を見ています。例えば、私が強い黒人女性として自分を見るなら、自分は有能で、逆境に挑み、障害を通して自らを鍛える。壁を壊し、痛みを飲み込む準備はできていて、常に他の人をケアする、と思うでしょう」とカルドウェル・ハーヴィさんは話す。
歴史的に、これは多くの黒人女性家長の現実だったが、それには犠牲が伴うという。「それによる消耗はとても大きく、疲弊し、人生に不満を感じ、病気になることさえあります」
代わりに、このソーシャルメディアで見られる変化のように、黒人女性は全てをやる必要はないことを実感しはじめている。助けを求めたり、サポートを雇ったり、「ノー」と言うこともできる、と感じているのだ。
この「全てをやる」という姿勢を止めることで、「弱さ、柔らかさ、安心、平和など、充実した人生に相応しいものを経験できるようになります」とカルドウェル・ハーヴィさんは、述べる。
そしてこれは、必要な時に力を発揮できないことではない。ただ、常に1人で全てを背負うことはないということだ。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。