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※2022年にハフポスト日本版で反響の大きかった記事を一部編集しご紹介しています。(初出:8月19日)
2022年も夏休みに金曜ロードショーで放送され話題となった『となりのトトロ』(1988年)。スタジオジブリ、宮崎駿監督の名作ファンタジーだ。
病気で入院する母親のため、空気のきれいな郊外に引っ越してきたサツキとメイが、トトロやマックロクロスケ、ネコバスなど不思議な生き物たちと出会って心を通わせる姿を描く。
トトロは巣の中でぐうぐう昼寝をし、オカリナを吹き、コマを使って空を飛ぶ「へんないきもの」であり、どんな生き物なのかは詳しく説明されない。
しかし実は、太古の昔人間と戦って敗れた「トトロ族」の末裔という驚きの設定だったのだという。
押井守監督「あの人、最初の段階では色々やばいこと考えてる」
この設定は、2016年にLINE LIVEで配信された、スタジオジブリの代表取締役プロデューサー・鈴木敏夫さんと映画監督の押井守さん、ドワンゴ創業者の川上量生さんの3人が行った鼎談などで明かされている。
鈴木さんと押井監督、宮崎監督は旧知の仲。鼎談では、当時日本で公開されたばかりの押尾監督の新作映画などについてざっくばらんに語り合った。
映画に対して「予定調和」や「分かりやすいもの」が求められるようになっているのではないかという話題の中で、宮崎駿監督に関する話が登場した。
鈴木さんは「(宮崎監督は)予定調和だと思わせてそうじゃないことをやる」とコメント。
押井監督が「あの人って最初に企画を喋ったりする時とか、最初の段階では色々やばいこと考えてるじゃない。そんなことやっていいんですかっていう。出来上がってみると…」と口にすると、鈴木さんが「収まるところに収まってるんだよね」 と同調する。
鈴木さんは「(宮崎監督は)バランスの人なのよ」と言うと、『となりのトトロ』について、当初宮崎監督から聞いていた内容について明かした。
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「一番最初に僕が聞いた話はね、かつてトトロ族っていうのがいたって。それで太古の昔、人間とトトロ族が戦うんですよ。それで人間の方が優れてたっていうか、トトロ族やっつけられちゃうわけ。その中の生き残りがいたんですよ。それが、時代時代の中でひょこっと顔を出す。それがあるときはもののけと言われたり、あるときはお化けと言われたり、そういう話だったんですよ」
驚きの設定に、スタジオでも笑い声が上がる。川上さんが「全然違うじゃないですか」と言うと、押井監督が「最初割と壮大なところから考えるけど、いざ作り始めると、キャラクターの周りだけになっちゃうんだよ」と説明。
鈴木さんは笑いながら続ける。
「それで現代においては、所沢にトトロ族の末裔がひょこっと顔を出したという話なんだってことを言い出すわけですよ。そうするとトトロ族と人間族の戦いは一体どこ行ったのって」
この設定だけ聞くと、『平成狸合戦ぽんぽこ』にも通じるものを感じる。川上さんがそう言及すると、鈴木さんは「人間に滅ぼされたものたちなんですよトトロ族っていうのは」と応じた。
宮崎監督は人間とトトロ族の戦いについて絵も描いているのだという。
トトロは「愛想を振りまきすぎたんじゃないですかね」
宮崎監督本人はトトロについてどんな思い入れがあるのか。本人が監修した書籍「トトロの生まれたところ」では、トトロについて「とても大事なことは、トトロというのは、馬鹿か利口かと言ったら、ものすごく大きな馬鹿だということ」とコメントしている。
なにを考えているか分からない、もしかしたら何も考えていないかもしれない、そういったキャラクターを作りたかったのだという。「すぐ愛想を振りまいたり、目をキョロキョロさせたりする、そういうキャラクターではない」「わかりやすい形で何かを表現しているわけではないけど、大きな存在」であり、あまりものを考えている顔にしないよう神経を使っていたと語った。
しかしキャラクターグッズを作って売っている間に「雑念が押し寄せ」、いつの間にか違うものになったとも感じているといい、「愛想を振りまきすぎたんじゃないですかね」とも述べていた。
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▼対談の動画はこちら。宮崎駿監督に関する話題は46分50秒ごろから