帝京大学は11月24日、男性教員が非公式に女子学生を優遇して「ゼミ生」に採用し、男子学生に不利な対応をとっていた疑いが上がっている問題をめぐり、内部調査委員会を発足した。同日、同大学がホームページ上で発表した。
男性教員は、教員1人が少人数の学生を指導する形式の授業「ゼミナール」(ゼミ)に所属する学生(ゼミ生)の選考にあたり、「問題」と認識しつつも非公式に女子学生を優遇し、男子学生には不利に対応していた疑い。性別により対応を分ける選考の方針を男子学生に説明するメールや音声のデータがTwitter上に投稿され、物議を醸していた。
これを受け、帝京大学は22日、男性教員が運営するゼミの学生募集を中止すると発表していた。
同大学は「本学は教員の立場を利用した学生へのハラスメント行為(アカデミックハラスメント)や差別的行為を許容しておらず、決して許されるべきものではないと考えております。事実関係が明らかになり次第、ご報告いたします」とコメントしている。
「男子には内緒ですが…」「公式には言えないよ」
男性教員は男子学生へのメールで、「聖奈」さんという名前の男子学生に対し、「女子学生さんですよね?たまに女子みたいな男子もいますので、念のため」と確認した上で、「男子には内緒ですが、女子は基本的には応募=採用です」と採用の裏側を明かす説明をしていた。
メールの文面とあわせて投稿された音声データには、メールのやり取りの後に面談しているとみられる男子学生と男性教員の会話が録音されていた。【会話の全文はこちら】
男子学生は会話の冒頭、ゼミの募集要項には定員について「男女問わず4人」と記されているにもかかわらず、メールでは女子学生を優遇する趣旨の説明があったことを指摘。
すると、男性教員は「それは君が女だと思ったから(メールに)書けたんだよ」と前置きした上で、「それ(女子学生の優遇)は、公式には言えないよ。言ったら問題になるから。だけど、僕の腹づもりでは、あなたが女だと思ったから、あなたが女だったら、優先的に採るつもりだよと。それだけだよ。それがあなたが男だから、そういうわけにはいかないと」と発言した。
会話の中で、男性教員は「公式に私がゼミの案内に(女子学生を優遇する方針を)出したら、それは、他の人からクレーム来る。学部長から『君、これはダメだね』って言われる」との認識を示した。
その上で、「最後は、決める人(採用者)が権限持ってるわけでさ。しのごの言われる筋合いじゃないのよ。(中略)機会は与える。結果の平等はないよ、それは。結果は、採る側が色々な都合を考えて決めるからね」と持論を展開していた。
男性教員が女子学生を優遇している理由は音声などからは明らかになっていないが、教員本人は「(公になれば)問題になる」対応だと自覚している趣旨の発言をしている。
一般的に、性別に基づく格差を是正する目的で大学での入試や教員採用などで「女性枠」を設ける場合には、その方針を募集要項などに明記し、志願者が了解した上で応募できるようにしている。今回の例は男子学生に不利になる方針が明文化されていない上、男性教員の独断だったとみられる。