教員1人が少人数の学生を指導する形式の授業「ゼミナール」(ゼミ)を運営する男性教員が、非公式に女子学生を優遇してゼミ生に採用し、男子学生に不利な対応をとっていた疑いが上がっている問題で、帝京大学は11月22日、事実関係を確認中のため「当該教員のゼミの(学生の)募集を中止」すると発表した。詳細は明らかにしていない。
大学が文書を発表する前日の11月21日、男性教員のゼミへの所属を希望していた同大学の男子学生が、男性教員から受け取ったメールや2人での会話を収めた音声データをTwitter上に投稿。男性教員がゼミ生の選考にあたって「問題」と認識しつつも非公式に女子学生を優遇し、男子学生には不利に対応していると説明していたことから、ネット上では批判の声が上がっていた。
「男子には内緒ですが…」「公式には言えないよ」
男子学生は冒頭、ゼミの募集要項には定員について「男女問わず4人」と記されているにもかかわらず、メールでは女子学生を優遇する趣旨の説明があったことを指摘。
すると、男性教員は「それは君が女だと思ったから(メールに)書けたんだよ」と前置きした上で、「それ(女子学生の優遇)は、公式には言えないよ。言ったら問題になるから。だけど、僕の腹づもりでは、あなたが女だと思ったから、あなたが女だったら、優先的に採るつもりだよと。それだけだよ。それがあなたが男だから、それは効かないと」と発言した。
会話の中で、男性教員は「公式に私がゼミの案内に(女子学生を優遇する方針を)出したら、それは、他の人からクレーム来る。学部長から『君、これはダメだね』って言われる」との認識を示した。
その上で、「最後は、決める人(採用者)が権限持ってるわけでさ。しのごの言われる筋合いじゃないのよ。(中略)機会は与える。結果の平等はないよ、それは。結果は、採る側が色々な都合を考えて決めるからね」と持論を展開していた。
一般的に、性別に基づく格差を是正する目的で大学での入試や教員採用などで「女性枠」を設ける場合には、その方針を募集要項などに明記し、志願者が了解した上で応募できるようにしている。今回の例は男子学生に不利になる方針が明文化されていない上、男性教員の独断だったとみられる。