俳優で2児の母であるオリヴィア・ワイルドさんは、子どもを連れていないところをよく写真に撮られる。
そしてなぜか、そのせいで彼女が母親としての義務を「放棄」したと思っている人たちがいる。
人々がワイルドさんの母性を疑問視する中、彼女はElle誌11月号のインタビューで沈黙を破った。
「私は元パートナーと子どもたちの共同親権を持っています。私が子どもと一緒にいない写真を見た人々は、子どもたちをどこかの暑い車内に取り残し、放置してるって思うんです。私が母親としての役割を放棄した、ってね」
「なぜ私が子どもたちと一緒にいないのか分かりますか?写真に撮られないようにするためです。あなた方に見られないよう、どれだけ彼らを守っているか分かりますか?」
悲しいことに、ワイルドさんの育児能力を疑問視する人々をソーシャルメディアで見つけることは難しくない。
「子どもたちはあなたが必要です」と、あたかもワイルドさんが6歳と8歳の2人の子どもの面倒を十分に見ていないかのように言う傍観者がたくさんいる。
彼女が恋人でミュージシャンのハリー・スタイルズさんと暮らすため、ロンドンへの移住を計画していると報じられると、批判はさらに加速した。
いくつかの議論を読むと、ワイルドさんが育児、高収入の仕事、そして恋愛を両立させた史上初の人物であるかのように思うかもしれない。
しかし、実際はそうではない。
ワイルドさんが指摘するように、そこには大きなダブルスタンダードが存在するのだ。
男性は一般的に、育児に対して批判されることはもちろん、子どもについて聞かれることすらほとんどない。
「私が子どもと一緒にいないところを見ると、人々は『なんてこと』って反応をするんです」と彼女は8月にVariety誌に述べた。
「男性にそんなことを言う人は見たことないです。逆に男性が子どもと一緒にいたら、もはや大ヒーローですよね」
こうした批判の根底には、女性は全てのアイデンティティを母親業に捧げるべき、という考え方がある。
もちろん、母親になることは人生を変えるものだが、父親も同じように全てを捧げるべきと考えられているだろうか?
女性は複数の役割を同時に、そして上手くこなすことができるということをハリウッドは忘れがちである。
2016年、俳優アナ・ファリスさんは元夫クリス・プラットさんとの子どもについて、彼女はいつも子どもについて尋ねられたというが、夫はほとんど質問されないと語った。
「レッドカーペットでよくある質問は、『どうやって仕事と母親業を両立しているんですか?』ですね。それはとても公平な質問だけど、(夫の)クリスはそういった質問を全くされないと言うのは、公平ではないと思います」とファリスさんは当時ハフポストに語った。
「『男性も両立しなくてはいけない』と考える人はいないだろう、と思うように、私たちは自然と調整されてきたのです」
2019年、歌手のジョン・レジェンドさんは、妻のクリッシー・テイゲンさんが自分よりも厳しい育児批判を受けることが多いと語った。
まだ親になってすぐの頃、夫婦でデートに出かけたところを写真に撮られた際に、テイゲンさんはソーシャルメディアで非難を浴びた。
「人々はクリッシーが外出したことを非難したけど、僕については何もネガティブなことを言わなかった」とレジェンドさんは話した。
「僕らは2人とも親で、2人とも外出した。それが適切でないと思うなら...まず、適切でないと思うべきではない。そしてもし誰かを責めるのなら、母親だけでなく、2人ともを責めるべきだ」
私たちの多くは、セレブたちのように育児に関して世間から反発を受けることはないだろう。しかし現実において、シングルペアレントの圧倒的多数が女性である以上、「不在の母親」と「不在の父親」への偏見に疑問を投げかける必要がある。
ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。