エジプトのシャルムエルシェイクで11月6日、第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)が開幕した。
同会議には190カ国以上の代表者が出席し、世界が環境に与える悪影響を軽減するための議論を行う。
パキスタンの洪水、ヨーロッパの熱波、アメリカ・フロリダ州を襲ったハリケーン「イアン」など、大規模な気候災害が相次いだこの1年を経験した今、かつてないほど「変化」を実行することが重要となっている。
しかし、12日間にわたり開催されるCOP27に、私たちはどれだけ期待して良いのだろうか。
アジェンダをめぐる衝突により会議の開始が延期されるなど、既に緊張が高まるなか、この会議で重要となるであろう4つの問題を紹介する。
1. 「損失と損害」の支払い
今年の会議で最重要課題となる、とされているのがこの問題だ。
多くの開発途上国は気候危機から直接的な大きな被害を受けている。例えばパキスタンは、気候危機を引き起こした炭素排出量の0.5%未満しか排出していないのにも関わらず、国土の3分の1が洪水で水没した。
他にも、海抜の低い国々は地理的な理由で同じ脅威に直面している。つまり、より先進的な国から排出される二酸化炭素の代償を、彼らが支払うことになる。
気候変動の経済的コストは、2050年までに1兆ドル(約146兆円)に達すると予想されている。
補償をめぐる意見の相違は、昨年グラスゴーで開催されたCOP26でも、交渉を頓挫させる恐れがあった。
2. 2030年までに世界の気温上昇を「1.5度」に抑えられるのか
11月に発表された気候変動に関する国連の報告書では、今世紀末までに気温上昇を1.5度に抑えるためには世界の努力はまだ不十分である、という差し迫った懸念が表明されている。
その報告書には、「パリ協定下での193の締約国の気候に関する誓約を合わせると、今世紀末までに世界は約2.5度の温暖化への軌道に乗る可能性がある」と書かれている。
また、現在の公約では、2030年までに排出量が「2010年比で10.6%」増加することがわかった。
世界の気温上昇を1.5度に抑えるため、各国がさらなる努力をしない限り、異常気象の増加など、気候変動の最大の影響は悪化の一途を辿ることになる。
3. 化石燃料
ヨーロッパ全域で進んでいるエネルギー危機は、さらなる圧力となると見られている。
ロシアがウクライナを支援する国々を罰するために化石燃料のエネルギー輸出を取りやめようとしているため、各国はその穴を他から埋めようと必死になっているのだ。
このことにより、グリーンエネルギーに関する議論が強まるはずだが、特にヨーロッパがこの冬に直面するであろう電力不足と停電の可能性は、その判断を鈍らせる可能性がある。
また、石油・ガス・石炭を主な輸出品とする多くの国々は、他の国がこの産業から撤退することを支持しないだろう。
4. 背景にある外交圧力
開催国エジプトの人権問題は依然として論争の種であり、会議全体に影を落としかねない。
エジプトは、2013年に元陸軍大将がクーデターを起こして以来、シシ大統領が統治している。COP27のような重要な会議を開催することで、エジプト政府は欧米がその支配を正当化したと主張できるようになることが懸念されている。
また、アメリカと中国の緊張関係も、各国がこれまでの気候変動に関する約束を守らない理由となりかねない。
中国は世界最大の排出国であり、アメリカは2021年、北京にメタンガス排出量の削減を約束させることに貢献した。
しかし、ナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問して以来、両国の関係は緊迫し、交渉は中断している。
ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。