ブラジルの大統領選で右派の現職ボルソナロ氏が敗北したことに対して、支持者らの抗議が過熱している。選挙結果の受け入れを拒否し、高速道路の封鎖や、軍の介入を求めて軍の拠点に押し寄せる事態となっている。
ブラジルの大統領選は、10月30日に決選投票があった。左派のルラ・ダシルバ元大統領(労働者党)が50.9%対49.1%(開票率100%)で接戦を制し、現職で右派のジャイル・ボルソナロ氏(自由党)に勝利した。
AP通信によると、この結果を受け入れられない何千ものボルソナロ氏の支持者が11月2日、首都リオデジャネイロにある軍の拠点に大挙して押し寄せた。ボルソナロ氏の大統領の座を守るよう、軍の介入を要求しているという。
サンパウロやサンタカタリーナなど他の地域でも同様の動きがあり、負傷者が出た例もあるという。
現地メディアやキャスターらが、抗議の様子を捉えた映像をTwitterに投稿。群衆が、リオデジャネイロの軍拠点を囲い、通りを埋め尽くす様子が映っている。
ボルソナロ氏の支持者によって、高速道路も封鎖されている。選挙結果への抗議として、支持者のトラック運転手たちがブラジル中の何百もの道路を封鎖していると、Sky Newsは伝えている。
封鎖に加担した支持者に対して、警察が催涙ガスを放つなど衝突も起きている。
抗議活動はブラジル全土に及んでいるとみられる。黄色や緑の服をまとった群衆が、ブラジル国旗を掲げて、楽器を鳴らしたり声を上げたりしている。選手不正を訴える人もいる。
BBCによると、当のボルソナロ氏は、決戦投票の結果発表から44時間たった11月1日、ようやく公の場に姿を現した。わずか2分間だけ声明を発表し、記者たちの質問には一切答えなかったという。ダシルバ氏に敗れたことは認めなかったが、開票結果に異議を唱えることもしなかったと伝えられている。
ロイター通信によると、来年1月1日の政権移行に応じる姿勢を示唆したという。
ボルソナロ氏は当初「ブラジルの選挙では不正投票が行われている」と主張し、大統領選に敗北した場合、結果を受け入れない姿勢を見せていた。