映画『ハリー・ポッター』シリーズのマルフォイ役で知られる俳優のトム・フェルトンさんが、メンタルヘルスの問題を抱え、アルコール依存症で苦しんだ過去を告白した。
20代を 「逃げるように飲む」行為に費やしたというフェルトンさんは、3度リハビリ施設に入った。「苦しんでいる誰かの助けになるかもしれない」と公表を決めたという。
また、メンタルの問題を抱えていた時にサポートしてくれた人として、ある共演者の名前をあげ、感謝を伝えている。
子役として成功。その後の「暗い体験」とは?
9月に35歳になったフェルトンさんは、自伝『Beyond the Wand: The Magic and Mayhem of Growing Up a Wizard』を発表。CNNやPeopleなどによると、同書で、子役として成功した後の「暗い体験」について明かしている。
シリーズ第1作目の『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001年)に出演した際、フェルトンさんは14歳だった。演じたドラコ・マルフォイは、主人公ハリーらと敵対する悪役ながらも高い人気を誇った。その後シリーズ最終作『ハリー・ポッターと死の秘宝』(2011年)まで同役を演じた。
フェルトンさんは、『ハリポタ』シリーズ終了後、20代のほとんどの時間を「逃げるように飲む」行為に費やし、日がまだ沈む前からビールを飲み始めることが習慣になっていたという。
自伝には、「アルコール自体が問題ではなく、それは“症状”だった。問題はもっと深いところにあったんだ」と記し、メンタルヘルスの問題を抱えていたことも明らかにしている。
施設から逃げ出したことも。助けが必要だと認めたのは「重要な瞬間」だった
アルコールに依存するフェルトンさんを見て、当時の恋人でマネージャーでもあった女性や、エージェントらも介入する事態になった。アルコールや薬物依存症に詳しい弁護士からは「私のキャリアで、今回が17回目の介入になる。そのうち11人は亡くなりました。決して12人目にはならないでほしい」と言われたという。
その後、フェルトンさんはリハビリ施設に入る。しかし、1カ所目は24時間も経たずに逃げ出し、2カ所目では、女性の部屋にいるのが見つかり、追い出されたという。数年後に、3カ所目の施設に入って治療を受けることを選んだのは、「これまでで最も難しい決断のひとつ」だと感じていた。
その時の心境をこう振り返った。
「僕にとって、助けが必要なんだと認め、そのために何かをしたことは、とても重要な瞬間だった。自分で手を挙げて、『僕は大丈夫じゃない』と表明することに今はもう恥ずかしがったりはしない」
フェルトンさんは、「こうした感情を抱いているのは私だけではない」とも語る。
「人生のある段階で、身体の不調を経験するのと同じように、メンタルの不調も経験します。それは恥ずかしいことではないし、弱さを示しているわけでもありません」
「このページを書く決心をした理由の一つは、自分の体験を共有することで、苦しんでいる誰かの助けになるかもしれないという希望があったからです」
「エマ・ワトソンに励まされた」
また、自伝の出版にあわせて英メディア「The Independent」で受けたインタビューで、フェルトンさんはメンタルヘルスの問題を抱えていた時に励ましてくれた人として、ハーマイオニー役のエマ・ワトソンさんの名前をあげ、感謝を伝えている。
「複数の人たち、特にエマ・ワトソンに励まされました。(メンタルヘルスの問題について)表面的な一部分ではなく、全体を話すようにと背中を押してくれました」
ワトソンさんはフェルトンさんの3歳年下。シリーズ終了から10年以上が経った今も2人の友情は続いており、何度も再会を果たしている。
フェルトンさんの自伝の序文もワトソンさんが寄稿。「20年以上前から私たちは特別な方法で互いを愛してきた」「私たちはソウルメイトで、いつも互いを応援してきた。これからもずっとそうでしょう」とのメッセージを送った。