10月16日に中国共産党大会が北京市で開かれるのを前に、市内の橋に習近平総書記を批判する内容の横断幕が一時、掲げられたとみられる。
横断幕には「独裁の国賊・習近平を罷免せよ」などといった内容が書かれていて、直ちに撤去された模様。現場とされる橋には治安要員が配置され、監視に当たっている。
■横断幕に書かれていた内容は...
10月13日に掲げられたとみられるのは、白地に赤文字で書かれた横断幕。中国語で韻を踏みながら、習氏が推進する厳格なコロナ対策などを批判する。インターネット上に拡散した画像によると、次のような内容だ。
「PCR検査は要らない、飯を食わせろ ロックダウンは要らない、自由をよこせ デタラメは要らない、尊厳をよこせ 文革(文化大革命)は要らない、改革をしろ 領袖は要らない、投票をさせろ 奴隷をやめろ、公民であれ」
その横には、「独裁の国賊・習近平を罷免せよ」という内容もあった。
画像から、横断幕が掲げられたのは北京市海淀区の四通橋とみられる。横断幕は直ちに撤去された模様だが、橋では当局が配置したとみられる治安要員が監視に当たるようになったことが確認されている。
■「彭載舟」というハンドルネームの男性か
この騒動について、中国国内では情報統制が敷かれている。アメリカ政府系メディアの「ボイス・オブ・アメリカ」によると、14日に開かれた中国外交部(外務省)記者会見でこの件について質問が上がったが、毛寧・報道官は「その件についてはよく知らない」と回答を避けた。
一方で、中国共産党中央党校の蔡霞(さい・か)元教授はメディア関係者から寄せられた情報として、横断幕を掲げたのは「彭載舟」というハンドルネームの男性だとした。
男性は習近平氏の罷免を求めるストライキを計画していたともされ、習近平体制に批判的な言説を発表してきた蔡氏にTwitter上で協力を求めていた可能性がある。一方で、アメリカ政府系の「ラジオ・フリー・アジア」は同様の内容を報じつつ、「この情報が真実だと確認されてはいない」としている。