南極のオーストラリア観測基地に勤務する女性たちが、基地内でさまざまな性的ハラスメントの被害を受けている実態が、同国の南極局(AAD)の上級顧問による調査で明らかになった。
調査は被害の告発を受けて実施され、タスマニア大学の研究者メレディス・ナッシュ氏らが担った。
報告書では、女性の隊員らが同意なく体を触られたり、性行為を要求されたりする被害のほか、壁にポルノの掲示物を貼られる、性差別的なジョークを言われるーーといったハラスメントが確認されたとしている。
オーストラリアのタニア・プリバセク環境相は、報告書の結果に「うんざりしている」「ショックを受け、失望した」と述べた。現地メディアの取材に「大臣として、私が責任を負うあらゆる職場において、セクハラを徹底的に排除する」と強調した。
プリバセク氏によると、被害の訴えを申し出た人の中には、自らが攻撃の標的にされたり、今後遠征に招待されなくなったりするのを恐れてはっきりと証言できない、と主張した人もいたという。プリバセク氏は「私たちにできる最も重要な変革は、訴えを真剣に受け止め、適切に調査し、報復はないと安心させることです」と述べた。
男性優位の環境、同性愛嫌悪の文化も
報告書では、観測基地が男性優位な環境となっていること、同性愛嫌悪の文化が根付いていることも指摘。このほか、プライバシーや十分な衛生環境なしに生理用品の交換を余儀なくされるなど、女性の隊員らが月経に関するさまざまな困難を抱えて現地に滞在していることも明らかになった。
ナッシュ氏は、観測基地におけるジェンダー不平等を解消するため、定期調査の実施や応募資格の多様性の確保、生理用品の無償提供、セクハラに関する研修などの対策を提言した。
BBCによると、同国の南極観測基地は南極大陸の東端に位置する。夏季には最大500人の探検家が派遣されるが、冬季になると15〜30人ほどに規模が縮小される。医師やシェフなどを含む労働者は、通常1年間に渡って同じ観測所で生活をともにするという。
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