日本を代表する演劇やミュージカルの聖地である帝国劇場(東京都千代田区丸の内3丁目)が、2025年をもって一時閉館することがわかった。9月27日に、運営元である東宝株式会社の演劇部が公式サイトやSNSで発表した。
数々の名作を上演し、日本の舞台芸術の発展を支えた大劇場の一時閉館の発表に、Twitterでは「帝劇」がトレンド入り。
観劇ファンや俳優、クリエイターを中心に、「帝劇には思い出がいっぱい」「歴史あるあの厳かな空気は残してほしい」「寂しいですが、新しい帝国劇場も楽しみにしています!」などと、惜しむ声が広がっている。
「帝劇ビル」が2025年に閉館及び建て替え
同社は同日に行われた取締役会で、所有する千代田区丸の内3丁目の「帝劇ビル」の閉館及び建て替えについて決議。帝国劇場を擁する帝劇ビルは、竣工から約56年が経過しており、共同所有する公益財団法人出光美術館と、隣接する「国際ビル」を所有する三菱地所と共同し、一体的に建て替えることを決定したという。
現在のビル及び劇場は2025年を目途に閉館する予定で、新ビル・新劇場の施設計画やスケジュールについては決定次第発表するとしている。
1966年開場の2代目帝国劇場。『風と共に去りぬ』から『千と千尋』まで
現在の帝国劇場は、1966年に建替え竣工した2代目。
初代帝劇は日本初の本格的な西洋式大劇場で、1911年に近代日本の文化芸術のフラッグシップとして誕生。1964年の映画『アラビアのロレンス』の上映をもってその幕を一時閉じた。
1966年に開場した現在の2代目帝国劇場は、劇作家・菊田一夫さんの指揮により、『風と共に去りぬ』の世界初の舞台化を想定して建設された。国内において類を見ない大規模な舞台機構、最新鋭の音響照明設備が特色だとされ、歌舞伎から大衆演劇、ミュージカルまで、さまざまな演劇興行を行なってきた。
『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』『エリザベート』『MILLENNIUM SHOCK』(現『Endless SHOCK』)など何度も再演されてきた人気作品をもち、『ローマの休日』『マリー・アントワネット』『レディ・ベス』『王家の紋章』などもオリジナル・ミュージカルも成功させた。
さらに近年では、スタジオジブリの『千と千尋の神隠し』の舞台化で話題を呼び、今後は人気コミック『キングダム』『SPY×FAMILY』を原作とした上演も控えている。
東宝演劇部は、建て替えと一時休館の発表にあたり、「“大衆性と芸術性の融合”のモットーの元、110年を超える帝劇の灯を絶やさず、輝ける未来に向かって進化する新帝劇をお客様にお届けすることが、私たちの大きな使命となります」と発表。「現帝国劇場の2025年大千穐楽まで、どうぞ変わらぬご支援を賜り、新劇場の誕生をご期待くださいますよう心よりお願い申し上げます」と呼びかけている。
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