『映画デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ!』が9月23日、全国で上映されます。
2004年にテレビ放送が始まったアニメ『プリキュア』シリーズ(毎週日曜朝8時30分~、ABCテレビ・テレビ朝日系列)の第19作として、2022年2月に放送が始まった『デリシャスパーティ♡プリキュア』(以下、『デパプリ』)は、「ごはん」がモチーフ。閉店する老舗和菓子店を守りたいという思い、親子でお互いうまく話せないといった悩みなど、心の機微が丁寧に描かれたストーリーが好評を博しています。
映画版は、お子さまランチのテーマパーク『ドリーミア』が舞台。主人公の和実ゆい(キュアプレシャス)とペアの妖精であるコメコメの「ゆいみたいなヒーローになりたい」という夢をもとに、大人やヒーローへの憧れ、ごはんの持つ力の大切さが描かれます。
作品への想いやメッセージ性について、和実ゆいを演じる菱川花菜さんは「映画で『シェア』するのは、楽しい気持ちだけではなくて。だから、ゆいちゃんの人生を変えるといっても過言ではないくらいの気持ちで演じました」と熱弁。
コメコメ役の高森奈津美さんは「小さい自分を『非力』に感じて悩んでいる子に、『そんなことはないんだよ』と気づいてもらうきっかけになれば」と語ります。
(計2回掲載。菱川さんと高森さんに、物語のネタバレも含めて作品の魅力を聞いた後編は、こちらから)
◆「シェア」するのは、笑顔だけじゃなくて良い
――『プリキュア』シリーズは毎年、登場人物や設定が代替わりし、それぞれのテーマをもとにストーリーが描かれています。『デリシャスパーティ♡プリキュア』のテーマは、「ありがとうの気持ち」や「シェアする喜び」。『デパプリ』ならではの魅力を教えてください。
菱川さん:
デパプリは「ごはんは笑顔」がキーワードで、おいしいごはんをみんなで食べるシーンが多く、見ているだけで心が満たされる作品だと感じています。テレビアニメで伝えたいことは、ごはんを食べる楽しさや、それをシェアする喜び、そして食べた時の笑顔を守りたい気持ちなど、明確で、とても大切なことだと思っています。キャラクターがみんな思いやりたっぷりで、見た後に幸せな気持ちになれる作品だとも感じています。
――優しさに溢れるエピソードで、毎週心があたたかくなりますよね。オムライスやボールドーナツ、水無月など、出てくる食べ物もとにかくおいしそうだと評判です。
菱川さん:
見た後は毎回、おなかが減っちゃいます。おいしそうな食べ物は、映画でも健在です。今回の舞台である『ドリーミア』では、子どもだけでなく大人もワクワクする“お子さまランチ”がたくさん出てきます。おむすびタワーやロールパンの観覧車、ラーメンのコースター、デザートのアスレチックなど、食べものにちなんだ夢のような空間も楽しみにしてほしいです。また映画の後は、お子さまランチをたくさん食べてもらえたら嬉しいです。
――映画ならではの魅力はありますか。予告では、ゆいの「ねえ、コメコメ。『ごはんは笑顔』じゃどうにもならないのかな」というセリフが、いつもと違った印象で反響を集めています。
菱川さん:
いつもまっすぐなゆいちゃんですが、映画では今まであまりなかった表情も多く見せます。例えばテレビアニメで「シェア」するのは、笑顔などの楽しい気持ちが中心ですが、映画ではさまざまな感情をいろんな人とシェアするシーンがあります。ゆいちゃんをずっと演じてきた身として、それがとても衝撃的でした。
――テレビアニメでは、とにかくまっすぐなところがゆいの魅力だと感じ、少し驚く人もいるかもしれません。映画でゆいに対する印象が変わったり、演じる上でこだわったりした部分はありますか。
菱川さん:
ゆいちゃんも人間なので、もちろん悲しむことはあると思うのですが、それでも自分で前を向ける力を持っていると感じてきました。
だからこそ、自分1人でどうにもならないという時が来た時に、どう演じたらいいんだろうという壁がありました。ゆいちゃんはこんな寂しそうな声は出さないのかなとか、いろんな想像をしながら何回も録り直しをさせていただいて、ゆいちゃんの人生を変えるといっても過言ではないくらいの気持ちで演じました。
テレビアニメも映画もそれぞれ大切なことを教えてくれる作品だと思うので、そのメッセージを感じ取っていただければ嬉しいです。
◆「人の役に立てない」と悩む子に、そんなことはないよと伝えたい
――予告では「夢みるコメコメの奇跡の物語」とナレーションがあり、コメコメの「ゆいみたいなヒーローになりたい」という夢が明かされています。コメコメはなぜ、こういった夢を持ったと思いますか。
高森さん:
「ゆいみたいなヒーローになりたい」という夢は、テレビアニメの第1話でのゆいとの出会いからずっと、コメコメの根底にあると感じています。第1話でゆいは、赤ちゃんがのっているベビーカーが坂から転がってしまった時、走って助けに行きました。レシピッピが捕らえられた時、自分に「プリキュア」という特別な力がなくても、敵に立ち向かっていきました。
コメコメはそんなゆいのことが大好きで、彼女の決断力や強さに憧れを抱いています。テレビアニメでずっとその気持ちを大切にして演じてきたからこそ、映画でその感情に陽の目を浴びさせてもらえ、嬉しかったですね。「もしかしたらこの映画のために、テレビアニメの第1話の出会いがあったのかな」と思えるほどです。
――テレビアニメを見て、ゆいの強さに惹かれる子どもや大人も多くいるんじゃないかなと感じてきました。一方でコメコメはプリキュアと一緒に戦いつつも、プリキュアに憧れる視聴者に近い目線のキャラでもあるのかなと思います。
高森さん:
見ている人と近い目線だからこそ、感じ取ってもらえるメッセージがあると感じています。例えば映画までのコメコメは、エナジー妖精の中で1人だけ幼いことをネックだと思っているんですよね。ゆいは強くて、何かあった時に誰かをすぐ助けにいける。でも自分は小さくて、成長するたびにみんなが喜んでくれるけど、直接誰かの助けにはなれないといった悩みを抱えています。
コメコメのそんないじらしさみたいなものに、大人の方は自分の子どもを見るような気持ちで、なんとなく気づいていただけているのかなと。
一方で子どもたちの中には、小さい自分を「非力」に感じ、大切な人の役に立てないと悩んでいる子もいるかもしれません。コメコメの姿を通して、「そんなことはないんだよ」と気づいてもらうきっかけや力になれたらいいなと思っています。
<取材・文=佐藤雄(@takeruc10)/ハフポスト日本版>
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