「長く続く特別支援教育により、障害児は分離され、通常の教育を受けにくくなっている」
日本では、学校教育法に基づき、障害児が学ぶための場として特別支援学校や、小中学校内に通常の学級とは別で特別支援学級が設けられている。
こうした仕組みの下では、障害児が小中高校や通常の学級で学ぶ機会を得にくいことから、これまで国内からも「(健常者と障害者を分けて教育する)分離教育的色彩が強い」と指摘されることがあった。
一方、日本が2014年に締結した障害者権利条約は、障害のある人が一般的な教育制度から排除されない「インクルーシブ教育システム」を確立するよう締約国に求めている。
国連は2022年、日本が同条約に基づく対応を実施しているかどうかを確かめる「対日審査」を初めて実施。今回の報告書は審査結果として発表したもので、障害児が特別支援学校や特別支援学級に「分離」されることで通常の教育を受けにくくなっているとして、懸念を表明した。
具体的に、▽(特別支援学校ではない)小中高校で障害児を受け入れる準備が整っておらず、事実上の入学拒否が生じていること▽文部科学省が2022年4月、特別支援学級に在籍する児童生徒が通常の学級で学ぶ時間を週の半分以内にとどめるよう求める通知を出したこと▽通常の教育を担う教員は(障害児を教えるための)スキルが不足し、「インクルーシブ教育」に否定的な態度をとっていることーーなどを指摘し、危惧した。
その上で、「(障害児が)分離される特別支援教育をやめる」ことを、日本政府に強く要請。国レベルの教育政策や法律などで「すべての障害のある児童生徒が、すべての教育レベルで合理的配慮や個別の支援を受けられるように、十分な予算などを確保し、質の高いインクルーシブ教育についての国家的な行動計画を採用すること」を求めた。
具体的には、▽すべての障害児が小中高校に入れる手段の確保▽入学拒否を許さない政策の導入▽2022年4月の文科省通知の撤回▽障害者の権利を学ぶための教員研修の実施ーーといった対応を促した。
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉
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