子ども向けの人気テレビシリーズ「きかんしゃトーマス」に、初めて「自閉症」のキャラクターが登場する。
アメリカの玩具大手マテルは9月7日、「ブルーノ」が9月にデビューする予定だと発表した。
声優は、自閉症のある子どもたちが務める。
「ありのままの自分を愛し、尊重してくれる友人たちと過ごすこと」
自閉症(自閉スペクトラム症、ASD)とは発達障害の1つで、社会的なコミュニケーションや対人関係の困難さ、こだわりの強さといった特徴がある。
今回仲間入りする「ブルーノ」は、重い貨物を強力なブレーキで安定させる仕事を担う。楽しげで、駄洒落を好むキャラクター。
ブルーノは時刻表が好きで、トーマスや仲間たちが暮らす「ソドー島」にある、すべての線路がどこにつながっているのかを知っている。真っ赤な外装には、感情をあらわすランプがついている。
マテルはプレスリリースの中で、彼にとって最高の1日は「彼がそうしているのと同じように、ありのままの彼を愛し、尊重してくれる友人たちと過ごすこと」と紹介している。
声優を務めるのは、自閉症の子どもたち
ブルーノの声を演じるのは、自閉症のある子どもたちだ。アメリカ版には10歳のチャック・スミスさん、イギリス版には9歳のエリオット・ガルシアさんが抜擢された。
NPRによると、ガルシアさんはブルーノについて「面白くて頭が良くてとてもリラックスしたキャラクターです」と表現した。
キャラクターの開発にあたっては、自閉症について正確に表現するため、当事者の意見が取り入れられた。
アメリカの非営利団体「自閉症セルフアドボカシーネットワーク」の担当者は、声優を含めて制作にはさまざまな自閉症の人々が関わっていることに触れ、「これによってブルーノは自閉症のキャラクターとして真実味を帯びたものになっています。ブルーノが視聴者に、日常生活におけるインクルージョンの有意義な例を示してくれることを期待しています」と話している。
マテル社はリリースの中で「一部の特徴や好みを反映しているが、一つのキャラクターがすべての自閉症の人の実体験を網羅することはできない」と付け加えている。
自閉症のキャラクター、セサミストリートにも
「きかんしゃトーマス」は、ウィルバート・オードリー牧師が1945年に創刊した「汽車のえほん」シリーズが原作のテレビ番組。
ソドー島に敷かれたノース・ウェスタン鉄道で働く蒸気機関車のトーマスや、その仲間たちとの交流を描く。
アメリカの人気子ども番組『セサミストリート』でもこの春、自閉症の特性のあるキャラクター・ジュリアが登場。
世界自閉症啓発デーの4月2日、セサミストリートの公式Twitterは「私たちは、すべての子どもたちが自分の素晴らしさを誇り、輝き続けられるよう、今月を自閉症受容月間 (Autism Acceptance Month)としてさまざまなリソースやメッセージを発信します」と投稿していた。
―――
ひとりひとりが、サステナブルな地球環境の中で、自分らしく生きていくためにーー。
ハフポスト日本版は「SDGs」「多様性」「働き方」の三つのテーマを大きな柱としています。時事ニュース、企画特集や個人の声を拾い上げるオピニオンなど多様な記事を発信し、ハフポストの記事から会話を始めること、多くの関係者と協力しながら社会問題を解決することを目指していきます。