国際動物愛護団体「People for the Ethical Treatment of Animals(PETA)」は8月23日、ルイ・ヴィトンやフェンディを傘下に持つLVMHが2024年パリ五輪の公式スポンサーになるとの報道を受け、国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長に書簡を送ったと発表した。
パンデミックリスクも
PETAは、LVMHがオリンピックの公式スポンサーになるには、毛皮やエキゾチックレザーの販売をやめることに合意した場合に限るよう要請した。
毛皮やエキゾチックレザーの生産は、動物に対して非常に残酷なだけではなく、パンデミックリスクもあるためだと指摘している。
LVMHに供給しているインドネシアの2つの屠殺場に対するPETAアジアの調査では、作業員がニシキヘビの頭を何度も殴り、宙吊りにして、ホースを喉に通して水で膨らませ、皮を剥がしやすくしていることが分かったという。
さらに、PETAは毛皮やエキゾチックレザーが公衆衛生上の問題を引き起こしていることについても指摘。
デンマーク、イタリア、オランダ、スペイン、スウェーデン、米国など複数の国の毛皮農場では、動物や労働者に変異した新型コロナウイルスが発生し、ミンクのウイルスの危険な突然変異が人間に伝播したと説明している。
他のハイブランドは既に「脱毛皮」
「脱毛皮」を巡っては、他のハイブランドは既に舵を切っている。
WWDによると、アルマーニは2016-2017年秋冬コレクションから全ブランドで毛皮の使用を廃止した。
そして、17年10月には、グッチが18年から動物の毛皮を製品に使用しないと発表した。
さらに、ヴェルサーチェ、マイケル・コース、ジミー チュウ、バーバリーなども、次々と脱毛皮を表明し、18年12月には、シャネルがエキゾチックレザーと毛皮の使用をやめると宣言したと、東洋経済は伝えている。
INSIDERによると、LVMHの取締役であるアントワーヌ・アルノーは、LVMHのいくつかのブランドが毛皮の販売を続けている理由を以下のように説明している。
「LVMHは自社ブランドに対し、実験室で作られた毛皮を使用することを奨励しているが、どの素材を使用するかを含め、最終的にはデザイナーが完全にクリエイティブなコントロールを持っている」
「LVMHが毛皮を販売しなければ、消費者は毛皮を責任を持って生産していない他のブランドに行ってしまうだろう」
「私たちは動物虐待に賛成しているわけではない、もちろん反対している」
フェンディ「責任を持って調達」
フェンディは公式ウェブサイトで「26年までに全ての原材料を『責任を持って調達』する」と説明している。
毛皮については「私たちの使命は、毛皮を身に着けることを自由に選択したお客様に、倫理的に高品質の毛皮を供給することであり、全ての人の意見と選択の自由を尊重することに揺るぎない決意を持っている」と記している。