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盆の終わり、暑さのやわらいだ夏の夜に大切な人を送り出す「送り火」。
亡くなった最愛の人と繋がる、大切な瞬間。
「送り火」に届けられた爺さんからの贈り物とは…。
「送り火」をきっかけに深まる家族の愛を描いた漫画がTwitter上で話題になっています。
作者の羊の目(@odorukodomo8910)さんは漫画家で、「スキありオムライス」「1%ORANGE sideA sideB」「アウトサイダーズ」の著者。
ツイッターに公開した漫画「盆の終わり、送り火と煙」には、大ヒット作「アウトサイダーズ」に登場する篠宮諒一先生の学生時代を描き、6万件を超える「いいね」が寄せられました。
爺さんへの「送り火」
家族で盆の夜を過ごした諒一は、1人家の外へ向かったばあちゃんと空を見上げていました。
毎年送り火には、爺さんが残したタバコを一本だけ口にするばあちゃん。
空に向かって火をくゆらせることが、ばあちゃんなりの「送り火」でした。
ばあちゃんにとって、爺さんのタバコは大切な形見。残り少なくなってきたタバコに、「全てのタバコが灰になった時があたしの人生の潮時かね」と語ります。
それを見た諒一は、生前に爺さんから受け取っていた1カートンのタバコをばあちゃんにそっと手渡します。
孫から受け取ったタバコに悪態をつきながら、元気を取り戻していくばあちゃん。
タバコの煙をくゆらせながら、「長生きしなくちゃ」とつぶやきました。
漫画の下に羊の目さんとの一問一答が続きます。
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「寂しさと優しさと愛情を感じる」
ーーなぜ、このような漫画を描こうと思ったのでしょうか?
送り火という文化が好きだからです。暑さのやわらいだ夏の夜に火を焚いて先祖をお見送りするという行為に、寂しさと優しさと愛情を感じます。
ーー「盆の終わり、送り火と煙」は実話に基づいた作品ですか?
実話ではありません。ただ祖父の遺影の横にはいつもタバコ(ラークマイルド)が置いてあります。
ーー諒一からカートンのタバコを受け取ったお婆さまには、これまでの「送り火」とは違った心境の変化があったのでしょうか?
タバコを受け取った時は悪態をつきながらも嬉しかったと思います。ただこれまでの送り火とこれからの送り火の心境は変わらないと思います。今まで通りずっと大切に送っていくだけです。
ーーお爺さまが諒一にタバコを託した時、どんな思いを込めていたのでしょうか?
孫への信頼です。成人になる前に開けて勝手に吸うことはないだろうという信頼と、もしもの時には然るべき場面で自分の妻にこれを渡してくれるだろうという信頼です。
ーー作品には1.6万件を超える「いいね!」が付くなど大きな反響が寄せられていますが、どのように感じていらっしゃいますか?
嬉しいです。ありがとうございます。
ーー羊の目さまにとって「送り火」はどのような1日でしょうか?
この漫画を描いていたら終わりました。