よく冷えた果物がおいしい季節になりましたが、実は果物の中には冷やすと甘みが増すものと、あまり変化がないものがあるそうです。
その違いは何なのか、詳しい話を野菜ソムリエプロの吉田謹子さんに伺いました。
甘み成分は果物によって異なる
「果物の甘みは、主にショ糖、ブドウ糖、果糖などの糖分からなっています。果糖の甘みは、ブドウ糖と比べると約2倍ですし、ショ糖と比べても強いのです。
果物が甘いのはこれらの糖分によりますが、果物によって糖分の組成が異なります。一口に果物の甘みといっても、果物の種類によって糖分の質や量、割合が異なるのです」(吉田さん)
冷やすと甘くなる果物の仕組みも、この甘みの種類が関係しているといいます。
果糖は冷やすと甘くなる
「果糖は、常温ではブドウ糖やショ糖よりも甘いですが、0℃まで冷やすとショ糖の約1.5倍の甘みが出てきますし、逆に温めるとショ糖程度まで甘みが下がります。
つまり、果糖は温度を下げると甘みが増すので、果糖の多い果物は冷やすとより甘くなるのです。逆にショ糖の多い果物は冷やしても変化が少ないので、一般的に甘みはあまり変わりません」(吉田さん)
果糖が多く含まれる果物は、冷やすとより甘くなるということになります。
「たとえば、ブドウ、リンゴ、ナシ、キウイなどです。逆に冷やしてもあまり変わらないのは、ショ糖が多いもので、モモ、バナナ、カキなどです。これから旬を迎えるブドウは冷やすと甘くなるし、逆に桃は冷やしてもあまり甘さは変わりません。
今の季節、果物を冷やすことが多いと思いますが、桃などは常温で保存して追熟させて甘くして、食べる前に冷蔵庫で冷やすのが最もおいしい食べ方になります」(吉田さん)
冷やすと甘くなる果物、変化が少ない果物を覚えておくと、より甘く、おいしくいただくことができます。これからの時季、果物に合った冷やし方でビタミンや水分を補給して熱中症に備えましょう。
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