⽇本感染症学会など4学会は8月2日、新型コロナウイルス感染症にかかったかもしれないと思った時、どう行動すれば良いかをまとめた「限りある医療資源を有効活⽤するための医療機関受診及び救急⾞利⽤に関する4学会声明」を発表した。
声明は、⽇本救急医学会、⽇本プライマリ・ケア連合学会、⽇本臨床救急医学会との連名で、「症状が軽い場合の行動」「症状が重い時、高齢者や妊娠中、基礎疾患がある場合の注意点」「オミクロン株に罹った時の対応」「救急車を呼ぶ基準」「医療機関で受診すべき症状」などについて記している。
◆新型コロナを疑う症状が出たら、どうすれば?
感染を疑う症状(発熱、のどの痛み、⿐⽔、咳、全⾝のだるさなど)が出た場合、どうすれば良いのか。声明では、オミクロン株は「順調に経過すれば“かぜ“と⼤きな違いはない」という特徴を踏まえた上で、対応のポイントを示した。
まずは「仕事や学校を休んで外出を避け、⾃宅療養を始めてください」という。症状が軽い場合(飲んだり⾷べたりできる、呼吸が苦しくないなど)は、65 歳未満で基礎疾患や妊娠がなければ、あわてて検査や受診や、新型コロナウイルス専⽤の特別な治療の必要はないという。薬局やドラッグストアでも買える「アセトアミノフェン」などの解熱鎮痛薬で、発熱や痛みを和らげることが治療の中⼼となるという。
受診しなくても、市販の医療⽤抗原検査キットを使って、症状が出た翌⽇以降に⾃分で検査することもできる(取り扱っている薬局はこちらから)。推奨するのは厚労省が承認している医療⽤抗原検査キットの使⽤で、「限りある医療資源を有効活⽤するためにも、検査や薬のためにあわてて医療機関を受診することは避けてください」と強調。
症状が出た当⽇に検査をすると、感染していても陰性になる可能性が⾼いため、翌⽇以降の検査が推奨されるという。⾃宅での検査結果が「陽性」になった場合、オンライン登録(一部自治体のみ)やフォローアップセンターへの連絡、医療機関への相談が必要になる。
⾃宅で「陰性」になった場合も、感染している可能性はあるため、「体調が良くなるまでは⾃宅で安静にしてください」と呼びかけている。
また⽔分が飲めない、ぐったりして動けない、呼吸が苦しいなど症状が重い場合や、37.5度以上の発熱が4⽇以上続く時は、医療機関の受診が必要になる。
また65 歳以上の高齢者、妊娠中やワクチン未接種、基礎疾患がある人は重症になる可能性があり、かかりつけ医に早めに相談することが推奨される。
◆どんな時、救急車を呼ぶべき?
インターネット上では、「体調が悪くなっても、救急車を呼んで良いのか迷う」といった声も少なくなく、声明は「⼀般に医療従事者でない⼈が緊急性の⾼さを判断することは容易ではありません」と指摘。
救急⾞を呼ぶ必要があるのは、
・顔⾊が明らかに悪い唇が紫⾊になっている
・表情や外⾒などがいつもと違う、様⼦がおかしい
・息が荒くなった、⽇常⽣活で少し動いただけで息苦しい、肩で息をしている、座らないと息ができない
・胸の痛みがある、横になれない
・意識がおかしい、意識がない
といった症状がある時だといい、「このようなときには、救急⾞を呼ぶことをためらわないでください」と呼びかけている。
救急⾞を利⽤する⽬安については、総務省消防庁の「救急⾞利⽤リーフレット」 が参考になるといい、判断に迷う場合はかかりつけ医に相談したり、⾏政が設置する「救急安⼼センター」(#7119)や「子ども医療電話相談」(#8000)などを活用することを推奨している。
◆オミクロン株にかかった時は?
声明によると、オミクロン株への曝露があってから、平均3⽇で発熱や喉の痛み、⿐⽔、咳、全⾝のだるさといった急性期症状が出るが、そのほとんどが2〜4⽇で軽くなるという。かかった後に重症化する⼈の割合は、厚⽣労働省の資料に基づき、数千⼈に⼀⼈程度だと推定されるという。
順調に経過すれば「“かぜ”と⼤きな違いはない」といい、「新型コロナウイルスの検査を受けることは⼤切ですが、検査を受けることができなくてもあわてないで、自宅で療養することが⼤切です」と呼びかけている。