一年で最も暑い時期に差し掛かり、特にここ数日は体温を超える危険な暑さも観測されています。
もし熱中症を疑う症状が出た場合、まず症状に応じてとるべき行動があります。
初動の対応は、熱中症にかかった人の命を救えるかどうかを左右します。『熱中症環境保健マニュアル2022』(環境省)をもとに、応急処置をまとめました。
こんな症状は要注意
熱中症は、暑熱障害による症状の総称です。暑熱環境にさらされた状況下での体調不良は、すべて熱中症と考えなければなりません。熱中症は症状に応じて重症度が3ランクに分かれています。
▼重症度Ⅰ度:現場での応急処置で対応できる軽症
▼重症度Ⅱ度:病院への搬送を必要とする中等症
▼重症度Ⅲ度:入院して集中治療の必要性のある重症
熱中症が疑われるときにとるべき行動
では、自分や周囲の人が熱中症を疑われる場合、どんな行動をとればいいのでしょうか。
1)意識があるかどうかを確認
・意識がない…すぐに救急車を要請
・意識がある…急いで涼しい場所へ移動
2)脱衣と冷却
・脱衣…衣服をゆるめて、熱を体から放散させる
・冷却…露出した皮膚に濡らしたハンカチを当て、うちわなどで風を送る
※冷たいペットボトルで首の両側、脇の下、太ももの付け根に当てて冷やすのも効果的です。
救急車を呼んでも、到着するまではこのような方法で、体温の冷却に努める必要があります。
3)水分と塩分の補給
大量に汗をかいていたら、塩分の補給も大事です。水より経口補水液かスポーツドリンクでの補給が適しています。もし意識が不明瞭で自分で飲めない場合は、無理に飲まそうとせず、医療機関に運んで点滴を打ってもらうようにしてください。
救助は周囲の協力を求め、複数人で役割分担を
この中で緊急を要するのは、呼びかけても意識がない場合です。近くの人に協力を求めて最低2人でチームを組み、1人はAED(自動体外式除細動器)を探しに走り、もう1人は救急車を要請しながら本人に付き添ってください。
普段通りの呼吸がなかった場合、救急車が到着するまで心肺蘇生(心臓マッサージ)を行わなければなりません。
毎年多くの方が熱中症で亡くなっています。十分な水分補給と暑さ対策で自分の身を守ることも大切です。それに加えて、もし熱中症が疑われる人に出会ったら、適切な行動がとれるようにしておくのも熱中症への対策のひとつと考えて、適切な行動がとれるようにしておきたいですね。