イタリアの環境活動家たちが現地時間の7月22日、フィレンツェのウフィツィ美術館で抗議活動を展開し、名画に手を接着する事案が起きた。
作品には数年前に保護ガラスが設置されており、損傷はなかった。
活動家たちが手を接着したのは、ルネサンス期の画家サンドロ・ボッティチェッリの名画『春(プリマヴェーラ)』。ボッティチェッリのもう一つの傑作『ヴィーナスの誕生』とともに、愛と美の女神ヴィーナスを題材に描いた作品として知られている。
AP通信によると、『春』は15世紀後半に制作され、同館で最も人気のある美術品の一つで、サイズは約320cm×約210cm。
現地警察によると、抗議を実行したのはイタリア人の若い男女3人。このうち2人が手のひらに接着剤を塗り、絵画に手をくっつけた。接着剤はその後、ガラスから取り除かれたという。
若者たちは床に座り込み、「Last Generation, No Gas, No Coal(最後の世代 ガスなし 石炭なし)」と書かれた横断幕を掲げていた。
当時の映像からは、膝立ちをした男女が片手を作品にくっつけ、横断幕を広げる様子がわかる。美術館の関係者とみられる人が2人の手を剥がすと、ガラスには白い粘着物のようなものがくっきりと残っていた。
その後、抗議者たちはフィレンツェの警察署に連行された。フィレンツェ市内への3年間の立ち入り禁止を正式に命じられたという。
「アートを通じて警鐘」と主張
ガーディアンによると、抗議活動を展開した若者たちのグループは、「火災、食糧危機、干ばつでますます厳しい状況になっています。私たちはアートを通じて、社会と気候変動の崩壊に向かっていることに警鐘を鳴らそうとしているのです」との声明を発表した。
さらに、「芸術的遺産を守るのと同じように、私たちは世界中で共有している地球のケアと保護に専念しなければなりません」と主張。
今回の抗議活動にあたって、美術品の修復の専門家と相談し、絵画を傷つけずに自分たちと作品を接着する手段をとったとしている。