銃撃映像の「ながら見」「繰り返し視聴」に気をつけて。安倍元首相の報道から、心を守る方法

連日ニュースに触れることで、深刻で長期的な心理的影響を与えることも。子どもに対しては「視聴時間を制限する」などの方法があります。
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recep-bg via Getty Images

7月8日、安倍晋三元首相が奈良市内で演説中に銃で撃たれ、その後、搬送先の病院で死亡が確認された事件で、世界中に動揺が広がっています。

テレビやSNSなどでは、安倍元首相が銃撃を受け、流血する映像や写真などを何度も目にした人も少なくないと思います。

こうした惨事報道に連日触れることは、人々に、深刻で長期的な心理的影響を与えることが専門家によって指摘されています。影響を受けるのは、成人だけではなく、子どもも同様です。

一般社団法人「日本トラウマティック・ストレス学会」が公開する資料「惨事報道の視聴とメンタルヘルス」では、心を守るために注意したい点を、成人向け・子ども向けにわかりやすく紹介しています。

▼成人・子どもが注意すること

・惨事報道の刺激は必要最小限にする

惨事報道に接した量と心理的反応が比例することが知られています

・同じ内容の惨事報道を繰り返し見ないようにする

繰り返しの視聴は、ストレス反応を高めることが知られています

・衝撃的な映像の視聴を避ける

衝撃的な映像は、ストレス反応を高めることが知られています。

・「ながら見」は控える

ながら見で不用意に惨事報道にさらされて、過剰な刺激となるリスクがあります

・トラウマの体験者や精神疾患を抱える人は、惨事報道によって不調になりやすい

惨事報道を見ることで、過去のトラウマ体験への反応や現在の苦しみが高まることがあります

▼子どもに対して注意すること

・子どもの年齢と発達を考えて、惨事報道との距離の取り方を決める

子どもは、成人と比べて、安全・安心への不安がより高くなります

・子どもの惨事報道の視聴時間を親が制限する

頻回の視聴は、ストレス症状を高めることが知られています

・子どもが、トラウマティックな内容に不用意に曝されないようにする

子どもの年齢と発達に応じて、大人が管理し、衝撃的な内容が子どもの目に触れないようにしましょう

ロシアによるウクライナ侵攻でも、メディアで戦争についての情報に触れる時間が長い人ほど、抑うつ感、不安感、孤独感が高まる傾向にあったことが、調査によって明らかになっています

「日本トラウマティック・ストレス学会」によると、2001年のアメリカ同時多発テロ、2011年のノルウェー連続テロ事件、2013年のボストンマラソン爆破事件などの人為災害では、被害者・子ども・一般人を対象とした研究結果が多数報告されており、特に、トラウマ(心的外傷)体験者や精神的な悩みを持つ者においては、その影響がより強くなることがわかっているといいます。

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