日本産科婦人科学会は7月6日、中絶の権利を奪うのは「女性の人権侵害」だとし、アメリカ連邦最高裁判所の判断に抗議する声明を出した。
アメリカ連邦最高裁判所が、「中絶は憲法で認められた女性の権利」とした1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下したことを受けたもの。
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中絶へのアクセスの格差が広がることや、「社会生活・健康や生命を失うことをも強制しかねない」ことなどに強い危機感を示している。
「米国における女性の人権侵害に断固反対します」
妊娠中絶が憲法で保障された権利でなくなったことで、中絶規制の動きは各地に広がるとみられている。全米50州のうち26州で中絶を禁じたり、極めて厳しく規制したりする可能性が懸念されている。
こうした状況を背景に、日本産科婦人科学会が出した声明では、「経済力のある女性は州や国を越えて移動し、移動できない女性は人工妊娠中絶を受ける権利を奪われることになります」と格差が広がることを懸念。
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妊娠・出産は母親の命も危険にさらすことがあるため、「女性が出産を望まない場合、人工妊娠中絶の禁止は女性が社会生活・健康や生命を失うことをも強制しかねないものです」と指摘した。
さらに「すべての人が望むタイミングで望む数だけ子をもつことを保証する SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:性と生殖に関する健康と権利)は、基本的人権の一つ」とした上で、希望するすべての女性が安全で質の高い人工妊娠中絶を受けられるのもその一部だと強調。
「世界の全ての女性が自由意思で人工妊娠中絶を選択できることが保障されることを求め、米国における女性の人権侵害に断固反対します」と結んだ。
声明は英文でも公開されている。