痛風は「最古の生活習慣病」ともいわれ、足の親指の付け根など、関節に腫れと強い痛みが生じる病気です。中高年男性に多いと思われがちな痛風ですが、近年では40代以下の若い世代や閉経後の女性の発症も増えていて、患者数は日本国内で80万人を超えるといわれています。
痛風は年間を通じて起きる病気ですが、とくに夏場の深夜に発作が起きることが多いそうです。その理由や予防法などについて、横浜鶴見リハビリテーション病院(横浜市鶴見区)の吉田勝明院長に伺いました。
痛風は年間を通じて起きる病気ですが、とくに夏場の深夜に発作が起きることが多いそうです。その理由や予防法などについて、横浜鶴見リハビリテーション病院(横浜市鶴見区)の吉田勝明院長に伺いました。
気温が高い夏は尿酸濃度が上昇
痛風は体内の「尿酸」という物質が増加することが原因で起こる病気だと聞いています。原因や症状はどのようなものなのでしょうか。
「痛風は高尿酸血症とも呼ばれ、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態をいいます。細胞内の核に含まれる『プリン体』という物質が分解されるときに生じる老廃物の尿酸が尿として排泄(はいせつ)されず、血中濃度が高まることで発症する病気です。
余分な尿酸が体内にたまる状態が続くと、結晶となって手や足の関節に蓄積されて関節などに痛みが生じ、赤く腫れます。これを『痛風発作』と呼ぶのです。発作を放置したままでいると、『痛風結節』というしこりが生じ、腎不全や尿路結石、動脈硬化などの合併症を引き起こす可能性も高まります。
尿酸値が高い人は痛風発作が起きないとしても、心筋梗塞などの血管障害が起きるリスクを抱えていることになりますので、注意が必要です」(吉田院長)
特に、夏場の深夜に尿酸の増加が見られる傾向にあるそうです。
「血中の尿酸濃度は、発汗などによって体内の水分が奪われることが原因で上昇します。気温が高くなる夏場は、とくに尿酸値が上がりやすい季節なのです。高温の際には通常の気温のときに比べて、約40%も痛風発作が増えるという研究報告もあります。
夏場は大量に汗をかくことで脱水状態となり、血液中の尿酸値が上がります。また、アルコール類、とくにビールや清涼飲料水の摂取量が増えることも、尿酸値上昇の大きな要因です。
アルコールには利尿作用があるため脱水を起こしやすく、尿酸値を上昇させます。ビールにはとくにプリン体が多く含まれています。
また、就寝時に脱水症状が起きやすいため、夜間に痛風発作が多くなりがちです。1日を0~8時、8~15時、15~23時台と3等分してみると、0~8時の深夜を含む時間帯が、8~15時の日中の2.4倍の痛風発作が生じたと報告されています。
さらに、サウナで多量の汗をかくことも、痛風発作の要因になることがあるので注意が必要です。特に汗をかいた後は十分な水分補給を心がけましょう」(吉田院長)
「痛風は高尿酸血症とも呼ばれ、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態をいいます。細胞内の核に含まれる『プリン体』という物質が分解されるときに生じる老廃物の尿酸が尿として排泄(はいせつ)されず、血中濃度が高まることで発症する病気です。
余分な尿酸が体内にたまる状態が続くと、結晶となって手や足の関節に蓄積されて関節などに痛みが生じ、赤く腫れます。これを『痛風発作』と呼ぶのです。発作を放置したままでいると、『痛風結節』というしこりが生じ、腎不全や尿路結石、動脈硬化などの合併症を引き起こす可能性も高まります。
尿酸値が高い人は痛風発作が起きないとしても、心筋梗塞などの血管障害が起きるリスクを抱えていることになりますので、注意が必要です」(吉田院長)
特に、夏場の深夜に尿酸の増加が見られる傾向にあるそうです。
「血中の尿酸濃度は、発汗などによって体内の水分が奪われることが原因で上昇します。気温が高くなる夏場は、とくに尿酸値が上がりやすい季節なのです。高温の際には通常の気温のときに比べて、約40%も痛風発作が増えるという研究報告もあります。
夏場は大量に汗をかくことで脱水状態となり、血液中の尿酸値が上がります。また、アルコール類、とくにビールや清涼飲料水の摂取量が増えることも、尿酸値上昇の大きな要因です。
アルコールには利尿作用があるため脱水を起こしやすく、尿酸値を上昇させます。ビールにはとくにプリン体が多く含まれています。
また、就寝時に脱水症状が起きやすいため、夜間に痛風発作が多くなりがちです。1日を0~8時、8~15時、15~23時台と3等分してみると、0~8時の深夜を含む時間帯が、8~15時の日中の2.4倍の痛風発作が生じたと報告されています。
さらに、サウナで多量の汗をかくことも、痛風発作の要因になることがあるので注意が必要です。特に汗をかいた後は十分な水分補給を心がけましょう」(吉田院長)
夏場の痛風の7つの予防法
とくに夏場の痛風を予防するためにはどんな方法がありますか。
「痛風(高尿酸血症)予防の基本となるのは季節にかかわらず、生活スタイルの改善です。痛風と糖尿病などの生活習慣病には共通する『危険要因』が多く含まれています。健康的な生活スタイルを続けることは、ほかのさまざまな生活習慣病を同時に予防したり改善したりすることにもつながります。
そのうえで、夏場の痛風の具体的な『7つの予防法』は、次のとおりです。
(1)食べ過ぎ注意
肥満やメタボリックシンドロームの人は高尿酸血症の割合が増えることが明らかになっています。肥満を改善するだけで、薬を使用しなくても尿酸値が低下していくことがよくあります。肥満の原因になる過食は避けましょう。
(2)野菜・海藻を十分に摂る
尿酸はアルカリ性の水分などで溶けやすくなる性質があるので、尿をアルカリ性にすることで排泄しやすくなり、血中尿酸濃度が低く抑えられます。
普段の食事にアルカリ性食品を意識的に取り入れると良いでしょう。にんじんなどの野菜、わかめ、ひじきなどの海藻類のほか、きのこやいも類などもオススメです。
(3)しっかりと水分補給
ほとんどの尿酸は尿から排泄されるので、尿量を増やす事が大切です。そのためにも水やお茶などによる十分な水分補給で、尿酸が排泄されやすい環境を作りましょう。甘いジュースなどの清涼飲料水を摂りすぎると尿酸値を上昇させるので、控えましょう。
(4)プリン体を摂り過ぎない
尿酸の元となるプリン体を過剰摂取すると、痛風を引き起こすリスクが高まります。プリン体はほとんどの食品に含まれますが、プリン体が多く含まれている食品には注意を払って、プリン体の過剰摂取は控えましょう。レバーや魚の白子、干物などには、プリン体が特に多く含まれています。
(5)お酒を飲み過ぎない
酒の種類に関係なく、アルコール自体が尿酸値を上げてしまいます。また、アルコールには腎臓からの尿酸の排出を妨げる作用があるので、大量の摂取は禁物です。
(6)適度な有酸素運動を
激しい運動や無酸素運動は尿酸値を上げて腎臓からの排泄が低下するリスクがあります。痛風予防におすすめの運動は、ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などの「有酸素運動」です。
(7)ストレスと上手に付き合う
ストレスと上手に付き合うことも痛風の予防につながります。痛風や生活習慣病患者の多くは、責任感が強く、頑張りすぎて過剰なストレスを抱え込みがちなタイプの人が多いといわれています。
過剰なストレスが尿酸値を高めることもあるので、ひいては痛風や生活習慣病の予防には、適度に休養を取るなど、ストレスの解消も重要です。自分が“好きだ”と思うことを見つけて、気軽に楽しんでみてください。それがいちばんのストレス解消法です」(吉田院長)
「痛風(高尿酸血症)予防の基本となるのは季節にかかわらず、生活スタイルの改善です。痛風と糖尿病などの生活習慣病には共通する『危険要因』が多く含まれています。健康的な生活スタイルを続けることは、ほかのさまざまな生活習慣病を同時に予防したり改善したりすることにもつながります。
そのうえで、夏場の痛風の具体的な『7つの予防法』は、次のとおりです。
(1)食べ過ぎ注意
肥満やメタボリックシンドロームの人は高尿酸血症の割合が増えることが明らかになっています。肥満を改善するだけで、薬を使用しなくても尿酸値が低下していくことがよくあります。肥満の原因になる過食は避けましょう。
(2)野菜・海藻を十分に摂る
尿酸はアルカリ性の水分などで溶けやすくなる性質があるので、尿をアルカリ性にすることで排泄しやすくなり、血中尿酸濃度が低く抑えられます。
普段の食事にアルカリ性食品を意識的に取り入れると良いでしょう。にんじんなどの野菜、わかめ、ひじきなどの海藻類のほか、きのこやいも類などもオススメです。
(3)しっかりと水分補給
ほとんどの尿酸は尿から排泄されるので、尿量を増やす事が大切です。そのためにも水やお茶などによる十分な水分補給で、尿酸が排泄されやすい環境を作りましょう。甘いジュースなどの清涼飲料水を摂りすぎると尿酸値を上昇させるので、控えましょう。
(4)プリン体を摂り過ぎない
尿酸の元となるプリン体を過剰摂取すると、痛風を引き起こすリスクが高まります。プリン体はほとんどの食品に含まれますが、プリン体が多く含まれている食品には注意を払って、プリン体の過剰摂取は控えましょう。レバーや魚の白子、干物などには、プリン体が特に多く含まれています。
(5)お酒を飲み過ぎない
酒の種類に関係なく、アルコール自体が尿酸値を上げてしまいます。また、アルコールには腎臓からの尿酸の排出を妨げる作用があるので、大量の摂取は禁物です。
(6)適度な有酸素運動を
激しい運動や無酸素運動は尿酸値を上げて腎臓からの排泄が低下するリスクがあります。痛風予防におすすめの運動は、ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などの「有酸素運動」です。
(7)ストレスと上手に付き合う
ストレスと上手に付き合うことも痛風の予防につながります。痛風や生活習慣病患者の多くは、責任感が強く、頑張りすぎて過剰なストレスを抱え込みがちなタイプの人が多いといわれています。
過剰なストレスが尿酸値を高めることもあるので、ひいては痛風や生活習慣病の予防には、適度に休養を取るなど、ストレスの解消も重要です。自分が“好きだ”と思うことを見つけて、気軽に楽しんでみてください。それがいちばんのストレス解消法です」(吉田院長)
尿酸値が下がらないときはかかりつけ医に相談を
若い世代でも、食事や運動などの生活習慣がとくに不健康というわけではないのに、痛風を発症したという人が増えているようです。
「痛風の発症を引き起こす遺伝子をもっている人とも考えられます。若い世代が痛風を発症する要因として、『ABCG2(エービーシージーツー)』と呼ばれるたんぱく質の輸送体(トランスポーター)の遺伝子変異との関連が報告されています。
20代以下で発症した痛風患者の約9割はABCG2の遺伝子変異をもっています。ABCG2の遺伝子変異は年代にかかわらず痛風の発症リスクを高め、50代の人がこの遺伝子変異をもっている場合、痛風の発症リスクは2.5倍以上に上昇するといいます。
ABCG2の遺伝子変異は、簡単な検査でみつけることができます。若い世代で痛風を発症した人や、『7つの予防法』を実践してみても尿酸値の低下や症状の改善がみられない人は、早めにかかりつけ医に相談するようにしてください」(吉田院長)
過度の運動を行って清涼飲料水を大量に摂取し、さらに寝る前に脱水症状を引き起こしやすいビールをがぶ飲みする。
夏場に“やりがち”ですが、痛風を引き起こす原因になるようです。夏場は特に食べ過ぎ、飲み過ぎを控え、適度な運動によって、痛風の予防を心がけましょう。
» お天気ニュースをアプリで見る
「痛風の発症を引き起こす遺伝子をもっている人とも考えられます。若い世代が痛風を発症する要因として、『ABCG2(エービーシージーツー)』と呼ばれるたんぱく質の輸送体(トランスポーター)の遺伝子変異との関連が報告されています。
20代以下で発症した痛風患者の約9割はABCG2の遺伝子変異をもっています。ABCG2の遺伝子変異は年代にかかわらず痛風の発症リスクを高め、50代の人がこの遺伝子変異をもっている場合、痛風の発症リスクは2.5倍以上に上昇するといいます。
ABCG2の遺伝子変異は、簡単な検査でみつけることができます。若い世代で痛風を発症した人や、『7つの予防法』を実践してみても尿酸値の低下や症状の改善がみられない人は、早めにかかりつけ医に相談するようにしてください」(吉田院長)
過度の運動を行って清涼飲料水を大量に摂取し、さらに寝る前に脱水症状を引き起こしやすいビールをがぶ飲みする。
夏場に“やりがち”ですが、痛風を引き起こす原因になるようです。夏場は特に食べ過ぎ、飲み過ぎを控え、適度な運動によって、痛風の予防を心がけましょう。
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