参議院議員選挙の東京選挙区に無所属で立候補していた乙武洋匡(おとたけ・ひろただ)氏は落選の見込みとなった。ほかの立候補者6人に当選確実の報道があり、定員6人が埋まるとみられるため。
乙武氏は46歳。生まれつき両腕と両足がなく、早稲田大学在学中に出版した「五体不満足」がベストセラーとなった。その後、スポーツライターや作家などとして活動してきた。
選挙戦では障害者やLGBTQの人たちといった少数者に寄り添う政策を発信。無所属としての立場を生かし、与党・野党双方との連携することなどを掲げていた。
公示前に東京・秋葉原で実施した街頭演説には、ネット掲示板「2ちゃんねる」の創始者であり、親交の深い西村博之(ひろゆき)氏が登場。共に街宣カーに上ると、軽妙な掛け合いを披露した。
この中でひろゆき氏が「身体障害者は人数が少ない。女性が思い通り働けないとか、色々な弱者だったりハンディキャップだったりがある。どこに焦点を当てたいんですか。それとも、弱者系は全員助けたいんですか」と聞いた。
これに対し乙武氏は「二択で言えば全員助けたい方で、決定的にマイノリティと政治は相性が悪いんです」と回答。「政治は票をいっぱいとった人が受かる。受かった人たちは多数決で物事を決める。マイノリティは数が少なく、そもそも(選挙に)受からないし、受かったとしても声がかき消される」と指摘した。
その上で、異なる属性を持つマイノリティ同士が横の連携をしていくことが必要だとして「僕が一番、一緒に戦っていきたい最大のマイノリティは若者なんですよ。20代、30代は政治の世界ではマイノリティ。障害者やLGBTQといった、いわゆる『分かりやすいマイノリティ』に若者を加えて、『数が少ないからってなんで不利益な思いをしなきゃいけないんだ』というメッセージを届けたい」と訴えていた。