アメリカの有名モデル、アイルランド・ボールドウィンさんが6月26日、自身のTikTokに動画を公開し、共感を呼んでいる。動画の中で「私は私を選んだ」という言葉を使ったボールドウィンさん。彼女の訴えや伝えたいこととはーー。
動画は、アメリカ連邦最高裁判所が6月24日に出した、女性が人工妊娠中絶を選ぶ憲法上の権利を認めた「ロー対ウェイド判決」をおよそ半世紀ぶりに覆す判断を受けてのもの。
ボールドウィンさんは、“I’m here for you”(私がそばにいる)というキャプションを付けて動画をTikTokに投稿し、自身の経験について告白した。
ボールドウィンさんは、10代の頃にレイプ被害に遭ったこと、その後に中絶をしたことについて話し、「私が今、自分の話を共有しているのは、他の女性が自分の話を共有したいかどうかに関わらず、サポートされ、愛されていると感じてほしいから」と訴えた。
「私は私を選んだ」という言葉が訴えること
ボールドウィンさんは動画で、「10代の頃にレイプされて、その時は完全に意識がなくて、その後の人生の流れが変わってしまった」と明かした。
ボールドウィンさんは、その直後は、治療にあたった看護師以外には、当時のボーイフレンドや、両親にさえ「誰にも」話さなかったと続けている。
そして、「私は何年もその秘密を自分の中にしまい込み、そのために私や私の愛する人たちにたくさんの傷と痛みを与えてしまった」と語った。
「多くの勇敢な女性が自分の物語を共有するのを見て、もし私が妊娠していたら、そして私がその時に経験したことの間に赤ちゃんを育てなければならなかったら、私の人生はどうなっていただろうかと考えさせられた」とボールドウィンさん。
「当時のボーイフレンドとの間に予期せぬ妊娠が発覚し、彼は真剣に交際することをほとんど望んでいなかった」と話し、「私が中絶を選んだのは、憎み合う2人の間に生まれることがどんな感じかよく分かっているから」と加えた。
ボールドウィンさんは、赤ちゃんを産んで養子に出すことができたかどうかについて、「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」と述べ、「でも、自分の経済的な安定もなく、愛情や協力的なパートナーもなく赤ちゃんを育てるという選択は、私にはうまくいかなかった」と語った。
「私は私を選んだし、また私を選ぶ。それはあなたの人生であり、あなたの選択である」と彼女は締めくくった。
「ロー対ウェイド判決」とは?
ブリタニカ国際大百科事典によると、ロー対ウェイド判決とは1973年、それまで違法とされていた人工妊娠中絶を女性の権利と認めたもの。当時、テキサス州の連邦地裁が「中絶を著しく制限するテキサス州法は違憲」という判決を下し、1973年にアメリカ連邦最高裁もこの判決を支持した。
しかし、アメリカ連邦最高裁判所は6月24日、「ロー対ウェイド判決」をおよそ半世紀ぶりに覆す判断を下した。州による中絶の禁止や制限を容認する判決に対し、国内外で強い反発が起こっている。