目がさえてしまった夜に決まって食べるのは豆腐。
そして、料理で体が温まった後は、夜風に当たりながら、「叶わなかった願いはどれほどあるのだろうか」と思いを巡らす。
そんな経験を描いた漫画がTwitter上で話題を呼んでいます。
■真夜中に中華風豆腐を食べる話
疲れが溜まっているのに目がさえてしまった夜に決まって食べるのは豆腐。漫画で午後さんは、このように語ります。
自己流で簡単に作れる麻婆豆腐やあんかけ豆腐を作って食べるという午後さん。中華料理を食べていると、口や胃が温まり、そこから体全体が整っていく感じがするといいます。
ある日、体が温まりすぎた午後さんは夜風に当たりながら、こう考えました。
「死ぬまでに一度でいいから満点の星を見に行きたいなあ…」
「叶わなかった願いはどれほどあるのだろうか。覚えているものよりも思い出せないものの方が満天の星よりもきっと多い」
考えるうちに、こうも思います。
「胸の奥にある叶わなかった願いは星のように熱を放ち、私の中に夜空を作っていればいい」
部屋に戻ると、飼い猫もまだ起きていました。
「起きたらオレにまず声かけをだな」
「早くこっちにコイ」
「なでろなでろなでろ」
最近、飼い猫の不満を訴える声が大きいことに少し疲れつつも、自分と異なり、「臆することなく望みを伝える」姿に勇気づけられる部分も。
少し元気をもらった午後さんは「今からだって望みを叶えていけばいいんだよね」と少し前向きな思いを持ち、床につきました。
漫画の続きはこちらから読めます。
■美しい星空のように
ハフポスト日本版は、作者の午後さんに、漫画に込めた思いなどについて、取材しました。
ーーなぜ、このエピソードをマンガにしようと思ったのですか?
豆腐が好きで夜食やおやつによく食べているのですが、ズボラな性格が幸いしてかなり手軽に楽しめるレシピができたため、他の人にも楽しんでもらいたいと思い、漫画にしました。
ーー眠れない夜に料理をすることはよくあることなのでしょうか?
とてもよくあります。夜中は外出が難しいので時間を潰すことが難しく…料理は没頭できますし、作業を行なっている感じが達成感になりますし、最後にはおいしいものにありつけるので、とても好きです。
ーー漫画で紹介されているレシピはご自身で考えているのですか?
はい、自分で考えています。考えていると言いますか、何度も作るうちに余分な工程が削ぎ落とされたり、逆に必要な工程が追加されたりしていって完成するので、身体が勝手に考えていくれている、と言った感じです。
ーー夜風に当たりながら、「どれほどあるのだろうか叶わなかった願いは……私の中にこんな夜空を作っていればいい」と考えるに至ったのは、ご自身のどういう経験が影響しているのでしょうか?
私はよく、自分に足りないものや欲しいものを考えては、現実の自分の至らなさに落ち込む…という愚行を繰り返しているのですが、ある日ふと「思い出せないような些細な我慢や諦めも含めたら、膨大な数になるのでは…」と思い至った経験が影響しています。少し気が遠くなるのと同時に、でもそれって満天の星に似ているかもしれない、とも思ったんです(大きな願いは大きな星、些細な願いは小さな星といった具合です)。願いは叶わない限り想い続けるので、一種のエネルギーになるかもしれません。そしてそれらが多いことは悲しい側面だけでなく、美しい星空のように、人間の味わいになるかもしれない…とか考えたことを描きました。
ーー飼っている猫の姿に勇気づけられますとありますが、この他にも気づかされたと思うことはありますか?
例えお気に入りのごはんでも、猫はその日の気分で食べたり食べなかったりするのですが、こういった姿を見ていると「もっとワガママに生きてもいいのかもしれない…」と思ったりもします。
ーー今回の漫画には6万9千件を超える「いいね!」が付くなど大きな反響が寄せられていますが、どのように感じていらっしゃいますか?
率直に嬉しかったです。いろんな人に豆腐をおいしく食べてもらえて幸せでした。
ーー読者に向けて何かメッセージがありましたら、ぜひお願いしたいです。
いつもご覧いただき、本当にありがとうございます!これからも何かしら描いたり作ったりしていくと思いますので、ゆるくお付き合いいただけましたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします!