今が旬の新生姜は、初夏から夏にかけてのわずかな期間だけ出回ります。薬味などに使う茶色の生姜とは違い、色が白く、芽の先がピンク色をしていてみずみずしい見た目をしています。
新生姜と茶色い生姜の詳しい違いや、夏バテ対策にもつながる栄養成分について、野菜ソムリエの吉田謹子さんに伺いました。
色白の新生姜と茶色の根生姜は同じもの
この時期に出回る新生姜と、通年見かける茶色の根生姜(ヒネ生姜)とは実は同じものだそうです。
「種用の根生姜を春に植え付けると、その生姜からコブのように出てくるのが新生姜です。そのコブが小さい新生姜は葉付き生姜として出荷され、大きく成長すると葉が切られて出回ります」(吉田さん)
「新生姜はいずれも収穫後すぐに出荷されるので、根生姜と異なり透明感があって、とてもみずみずしいのが特徴です。大きく育った新生姜は先端部分が薄紅色をしていて美しいです」(吉田さん)
スライスでおいしい新生姜、すって使う根生姜
根生姜と見た目はだいぶ違いますが、栄養面や味に違いはあるのでしょうか。
「新生姜も根生姜も栄養成分にはほとんど違いはありません。ただ新生姜は水分が多く、根生姜は水分が少ないので、100gあたりの栄養価が新生姜より高めです。
生姜といえば独特の香りがありますが、それはシネオールという成分です。シネオールには食欲増進、疲労回復といった夏バテ解消作用に加え、健胃や消炎作用もあると言われています。
また、辛み成分はジンゲロールですが、強い殺菌作用を持ちます。加熱するとショウガオールに変わり、身体を温め、新陳代謝を活発にします。このほか、カリウム、マグネシウム、リンなどが含まれています。
新生姜はとてもみずみずしく辛み成分も少ないので、ぜひ生で食べてください。シャキッとした食感とさわやかな風味が広がります。スライスして味噌をつけて食べたり、サラダにしてもおいしいです。一方、根生姜はとても辛いので、すって薬味や匂い消しなどに使うと料理を引きたてます」(吉田さん)
ガリのピンク色は新生姜の天然色素
お寿司についてくるガリは新生姜で作られているそうです。
「ガリはまさに新生姜のおいしさを生かした漬物です。薄ピンク色をしていますが、あの色は食紅などではなく、新生姜の芽にあたる部分の薄紅色の皮が酢と反応して出る天然の色です。天然の色と食感、おいしさをぜひ味わってみてください」(吉田さん)
生姜をスライスで食べられるのは今だけです。味噌をつけたり、サラダにしたりしておいしく味わい、夏バテ対策に役立てましょう。
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