妊娠中絶の権利を求める活動家たちが現地時間の6月7日、ニューヨーク市内で行われた女子プロバスケWNBAのニューヨーク・リバティー対ミネソタ・リンクスの試合中にトップレス姿で乱入する一幕があった。「妊娠中絶は女性の権利」と認めた「ロー対ウェイド判決」が覆される恐れがあることに対して抗議の声を上げた。試合は一時中断したが、その後再開された。
コートで何が起きた?
乱入の瞬間を撮影した映像には、複数の女性たちが緑の布を掲げたり、コート内を駆け回ったりする様子が映っている。一部の活動家は上着を着用せず、胸まわりを緑色にペイントしていた。
なかには、「ロー対ウェイド判決を覆す?冗談じゃない!」「私の体、私の選択」といったメッセージを胸元に書いている女性もいた。大会関係者とみられる人が女性を取り押さえようとする場面も捉えられている。
最後には警備員が女性たちを確保し、コートの外へと連れ出した。彼女たちは、妊娠中絶の廃止をめぐってアメリカ・カリフォルニア州のドジャー・スタジアムなどでも抗議活動を展開した団体「Rise Up 4 Abortion Rights」のメンバーとみられる。
団体はTwitterで、デモの際の写真とともに「これこそ私たちが求めていた観客です」などと投稿。
「私たちは女性嫌悪のファシストたちの心を変えるために抗議しているのではありません。#RoeVWad(ロー対ウェイド判決)が覆されるのを阻止することができる人々に呼びかけているのです。#中絶の権利 を支持する多くの人々に!」と訴えた。
アメリカ連邦最高裁判所が「妊娠中絶は女性の権利」と初めて認めた1973年の判決について、覆す見通しであることを示す草案の内容が、2022年5月にリークされた。
これを受け、草案に対する抗議と中絶の権利を訴える活動が各地で激化している。
BBCによると、全50州のうち13の州では「ロー対ウェイド判決」が覆された場合に自動的に中絶を禁止する「トリガー法」がすでに成立している。
こうした動きは今後も広がり、全米家族計画連盟は、2022年夏までに26の州が中絶の禁止に動き、3600万人の女性に影響が出る可能性があるとしている。
選手から支持する声も
ニューヨーク・リバティのレベッカ・アレン選手は、活動家たちが乱入したバークレイズ・センターでの抗議活動について、ESPNの取材に「私はこのメッセージに大賛成です」として支持する姿勢を示した。「そして、私たちが試合に戻り再開できたことをうれしく思います」
チームメイトのサブリナ・イオネスク選手は、最初は抗議者たちをエンターテイナーと勘違いしたと振り返る。
現地メディアの取材に「状況を把握するのに少し時間がかかりました」と戸惑いを述べつつ、「少しクレイジーだった。でも良いことだと思う」「これで何かが解決するなら、私は支持します」と好意的な受け止めを語った。
※この記事は、ハフポストUS版を翻訳・編集しています。