「怠けていないのに仕事が遅い」を解決する、たった2つのライフハック

なぜ自分はうまく仕事がこなせないのだろう。「怠けていないのに仕事が遅い…」を解決するポイントは「段取り」にありました。『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』(共著)著者の小鳥遊さんが伝授する、ライフハックです。
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mustafahacalaki via Getty Images
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名刺すら満足につくれない…?

以前勤めていた会社の話です。

新しく海外事業の部署ができ、「名刺を明日までに作って欲しい」と依頼がありました。表面(おもてめん)は日本語表記、裏面は英語表記というルールがありました。裏面に記載される部署名などは専門的な単語になるため、英語に精通している人に翻訳をお願いしなければなりませんでした。

名刺作成会社は、その日の午前中に名刺データを送れば翌日夕方までに納品してくれることになっていました。

日本語表記のみの名刺作成と大して変わらない感覚でいた私が名刺作成タスクに手をつけ始めたのは11時頃。「あ!裏面の英語を決めなきゃ!」と英語に堪能な社員さんに慌てて連絡するも、11時から12時まで会議とのこと。万事休す!翌日納品の締切に間に合わなくなってしまいました。

怠けていないのに、仕事が遅いわけは?

上記の私の場合、とりたてて仕事を怠けていたわけではありません。それなのに、納期に間に合わない、つまり「仕事が遅い」状態になってしまいました。

その理由は、段取りを間違えたからです。「表面の記載内容を入力」する前に「裏面の記載内容を質問」すべきでした。逆にいうと、段取りさえ間違っていなければ、私は問題なくタスクを完了させることができたでしょう。

こういった「段取りの良し悪し」は往々にして起こります。段取りが良い人と苦手な人との違いは何か。苦手な人はどうすれば「段取り力」が身に付くのかを紐解いていきたいと思います。

段取りの上手い or 苦手の違いとは?

段取りが上手い人と苦手な人の違いは、次の2点に集約できます。 

①頭の中だけで物事の流れが整理できる/できない

段取りが上手い人は、手順を頭の中で瞬時に考え、その記憶をもとにタスクを進めることができます。

例えば、名刺を作って欲しいという冒頭の依頼を受けたときは、その手順表が頭の中で即座に作られキープできます。そのタスクをやるときになったら、その都度「手順表」を脳内で参照することができます。

段取りが苦手な人は、視覚的(具体的)でない情報に弱く、頭の中だけで手順を想像しながら仕事を進めていくのは大の苦手です。

名刺の作成を依頼されたら、「えーと、まず何するんだったかな」と、しばし思考が停滞します。そのため、手順に落とし込んで実行へ移るまでに結構な時間を要します。

②全体を俯瞰する視点とシングルフォーカスする視点の切替ができる/できない 

段取りが上手い人は、必要に応じて、全体の流れを見たり、手順に集中することができます。

冒頭の事例でいえば、「表面の記載内容を入力」することに取り組む前に全体の手順を俯瞰し、「これは英語表記を誰かに聞かなきゃいけない案件だ。先に聞いておこう」と手順を組み替えることができます。

その結果、組み替えた後の最初の手順「裏面の記載内容を質問」から始めることができ、午前中のうちに作成会社へ名刺データを入稿することができます。

段取りが苦手な人は、外部からの刺激に脊髄反射で反応しがちです。

目の前の一手順しか目に入らず「表面の記載内容を入力」しさえすれば良いと即実行してしまいます。そのため、タスク全体を俯瞰して最適な手順を検証することができず、いくら頑張っても段取りがうまくいかない状態から抜けきれません。

段取りよくなるために大切な2つのこと

もし上記の「段取りが苦手な人」に当てはまれば、段取り力を身に付けるため、次の2つの対策をおすすめします。

①仕事の情報を書き出して頭の中から追い出す

頭の中で全部処理しようとすると、一時停止してしまったり抜け漏れが発生してスムーズにタスクがこなせません。自分の頭の中という抽象的でモヤモヤした場所に情報を置いたままにせず、紙やPCなどの画面上という視覚的・具体的で時間が経っても変化しない場所に一刻も早く情報を移動させる(=書き出す)ことが必要です。では、どのように書き出すのか。②へ続きます。

②完了までの手順を自分なりに書き、検証する習慣をつける

まずは思いついた順に手順を書き出してみます。

ここで「表面の記載内容を入力」することだけに目がいきすぐに着手してしまいそうになりますが、はやる気持ちを抑え、いったん手順全体を見直します。早めに裏面の記載内容の質問をした方が良いのではないかと気づき、1番目と2番目の手順を交換します。

その後は、最初の手順「裏面の記載内容を質問」することに集中し、質問メールを送ります。

「裏面の記載内容を質問」するメールを送ったら、タスク全体を俯瞰する視点へ切り替えます。再度、全体の手順の流れに不都合なところはないか確認します。 

とくになければ、先ほど実行した1番目の手順「裏面の記載内容を質問」を消し、「次の手順に集中する視点」へ切り替えて2番目の手順「表面の記載内容を入力」に集中します。 

このように、自分の頭の外で「次の手順に集中する視点」と「タスク全体を俯瞰する視点」の切り替えができるようにしておくと、より適切で効率的にタスクを進めることができるようになります。

「段取りが上手い人」になる必要はない

段取り一つで仕事のスピードは変わります。

しかし、「段取りが上手い人」になる必要はありません。苦手であっても、取り組むタスクを上記のように書き出して、あたかも段取りが上手い人が頭の中で行なう「全体を俯瞰する」「1つの手順に集中する」の2つの使い分けができるようになれば良いのです。

なお、「手順を書き出すのに時間がかかる」と思うかもしれません。確かに最初はそうですが、段取りを意識し手順の書き出しを繰り返していると、それが段々速くなっていき、現状に即した段取りをつけやすくなっていきます。1回1回の書き出しが自身の段取り力アップ、ひいては仕事が早くなるためのトレーニングになりますので、ぜひやってみてください。 

(文:小鳥遊  編集:毛谷村真木/ハフポスト日本版)