韓国の7人組ボーイズグループBTSが、現地時間5月31日にアメリカのホワイトハウスを訪れることが明らかになった。アジア系の人々に対する差別問題について、ジョー・バイデン大統領と会談を行う。
「アジア系のインクルージョンとリプレゼンテーション」
ホワイトハウスの発表によると、対談のテーマは、「アジア系のインクルージョンとリプレゼンテーション(社会を構成する人々や文化の多様性を示す表現)」で、アメリカで多発する、アジア系へのヘイトクラムの問題や差別をなくす取り組みについて議論する。多様性と包括性の重要さ、そして「世界に希望と肯定のメッセージを広める若い世代の大使」として、BTSのもつ「プラットフォーム」の側面についても話す予定だ。
コロナ禍、ヘイトクライム1万件以上
5月は、アメリカで「アジア・太平洋諸島系米国人文化遺産月間」に定められており、アジアや太平洋諸島にルーツをもつ人々の文化や歴史を伝え、その社会への貢献や活躍を改めて称える月間。
コロナ禍では、アメリカでアジア系や太平洋諸島民(AAPI)に対するヘイトクライムが増加し、深刻な問題になっている。2021年3月にはアジア系の女性従業員が8人亡くなったアトランタのマッサージ店銃撃事件が起こり、アジア系の人たちへの暴力を止めるよう訴える抗議活動「#StopAsianHate」がアメリカ各地に広がった。
人権団体Stop AAPI Hateの発表によると、2020年3月19日から2021年12月31日までの間、AAPIに対するヘイトクライムは1万件以上に上ったという。
バイデン大統領は2021年5月に、アジア系へのヘイトクライムの対策を強化する法案に署名し、「我々は憎悪や偏見を止めると約束する」と強調した。
「無力感を与え、自尊心を削ぐのに十分だった」
BTSは2021年3月、アトランタの銃撃事件後にアジア系へのヘイトクライムに抗議する声明を発表した。
声明では、「アジア人として差別を受けた」経験があると明かし、「理由もなく罵声を浴びせられたり、容姿を馬鹿にされたこともありました。なぜアジア人が英語で話すのかと聞かれたこともありました」などと、自身が受けた差別被害についても明らかにした。
「これらの経験は、私たちに無力感を与え、自尊心を削ぐのに十分だった」と振り返り、「あなたも、私も、私たちも、尊重されるべき権利を持っています」と訴えていた。
今回のホワイトハウス訪問について、BTSのメンバーから公式なコメントは出ていないが、リーダーのRMはインスタグラムのストーリーに、ホワイトハウスの発表文に、紫のハートを添えて投稿し、訪問への意欲を見せた。
BTSは6月にニューアルバム「Proof」を発表することも決まっている。K-POPグループの異例のホワイトハウス訪問にSNSでは驚きが広がり、会談の内容に注目が集まっている。