『Dappi』の投稿者に「減給の懲戒処分」。被告企業が明らかに(第4回口頭弁論)

立憲民主党の2議員が「ツイートは事実ではなく名誉毀損にあたる」と訴えた裁判。被告のウェブコンサルティング会社側は「会社が支給したパソコンを使って投稿していた」「投稿者は1人で、減給3ヶ月の懲戒処分をした」と準備書面で明らかにしました。
Twitterアカウント『Dappi』
Twitterアカウント『Dappi』
Twitterアカウント『Dappi』 / @dappi2019

匿名のTwitterアカウント『Dappi』による投稿で名誉を傷つけられたとして、立憲民主党の小西洋之参院議員、杉尾秀哉参院議員が東京都内のウェブコンサルティング会社に対し、計880万円の損害賠償などを求めた訴訟の第4回口頭弁論が5月27日、東京地裁(新谷祐子裁判長)であった。

森友学園をめぐる公文書改ざん問題に関連した『Dappi』の投稿について、「事実ではなく名誉毀損にあたる」と両議員は訴えている。

被告側は代理人が出廷。原告側からの求めに対する準備書面を陳述し、「会社が支給したパソコンを使って投稿していた」「投稿者は1人で、減給3ヶ月の懲戒処分をした」ことなどを明らかにした。これまでに被告側は、投稿は「従業員が私的にやったこと」と主張している。

一方、原告側代理人によると、投稿者の氏名については「投稿者の特定につながる」との理由から開示していないという。また、従業員が投稿をしていた理由についても明らかになっていない。この従業員は懲戒処分を受けた後も会社に在籍しているという。

また、小西議員らはこの訴訟に先立ち、『Dappi』の発信者情報の開示をプロバイダに対して求めた訴訟を起こしており、プロバイダ側から被告企業に対して開示に関して意見を求める書類が2021年4月に送られていた。これを受け、被告企業は4月に1週間かけて社内調査をし、投稿者を特定していたという。

原告側代理人は記者団の取材に対し、「投稿者を特定した後も『Dappi』の投稿は2021年10月まで続いており、会社の了解のもと行われていたものというふうに考えるしかない」と述べ、投稿が会社の業務として行われていたと主張していく方針だ。

次回の口頭弁論は8月22日を予定している。

これまでの経緯は?

(左から)小西洋之氏、杉尾秀哉氏
(左から)小西洋之氏、杉尾秀哉氏
時事通信社

小西議員らはこの訴訟に先立ち、『Dappi』の発信者情報の開示をプロバイダに対して求めた訴訟を起こし、東京地裁に開示が認められていた。投稿に使われたインターネット回線の契約者として開示されたのが、このウェブコンサルティング会社だった。

第1回口頭弁論は2021年12月10日に東京地裁で開かれたが、被告は出廷しなかった。関係者によると、被告は答弁書で、原告の被告に対する請求をいずれも棄却すること、訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、請求の原因に対する認否については追って調査の上行う、とした。

2022年2月28日にあった第2回口頭弁論にも被告は出廷しなかったが、「従業員が私的にやったこと」などとする準備書面を提出。4月11日の第3回口頭弁論には被告側の代理人が出廷し、「従業員が私的にやったこと」「従業員は就業規則違反によりしかるべき処分をした」などとする準備書面を陳述した。

訴状によると、『Dappi』は2020年10月25日、森友学園をめぐる公文書改ざん問題について、「近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間吊るしあげた翌日に自殺」などと投稿。小西議員らはツイートの内容は事実ではなく、名誉毀損にあたると訴えている。

『Dappi』とは?

『Dappi』のTwitterアカウントは2019年6月に開設されて以来、5000件を超える投稿をしている。プロフィール欄には「日本が大好きです。偏向報道をするマスコミは嫌いです。国会中継を見てます」とつづり、野党議員やマスコミの批判を繰り返し発信していた。

フォロワーは5月27日現在で約17万6000人。アカウントは現在も残ったままだが、発信者情報の開示請求が認められた後の2021年10月1日、菅義偉首相(当時)の投稿をリツイートして以降、更新されていない。

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