フランスで開催中の「カンヌ国際映画祭」で、トップレスの女性がレッドカーペットに乱入し、取り押さえられる一幕があった。
ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでの性暴力に抗議する意図があったとみられる。
何が起きた?
現地時間の5月20日、映画関係者らがレッドカーペットに集う中、正体不明の一人の女性が会場に姿を現した。この日は、ジョージ・ミラー監督の『Three Thousand Years Of Longing(原題)』の上映日だった。
女性は突然上着を脱ぎ捨て、トップレス姿に。胸元から腹部にかけて、青と黄の2色のペイントでウクライナ国旗を表現し、その上から「Stop raping us(私たちをレイプするな)」と抗議のメッセージをつづっていた。
女性は白い下着を着用した下半身にも赤色などでペイントをしており、血を表現したものとみられる。
AP通信によると、女性はカーペット上で「私たちをレイプするな」と大声で叫んだが、複数の警備員によって取り囲まれ、まもなくその場から連れ出されたという。
現場には多くの報道陣らが詰めかけていた。
Varietyによると、レッドカーペットの敷かれたリュミエール劇場に入るには、セキュリティチェックを何度も受ける必要がある。金属探知機などでチェックを受けた参加者は、さらに警備員によって許可を受け、入場のタイミングを指示される流れになっているという。
カンヌ国際映画祭は毎年5月に開催される。今年はロシアによるウクライナ侵攻を背景に、ウクライナの映画製作者の作品も複数上映されている。
AP通信によると、カンヌ国際映画祭では現在、ロシア政府とつながりのあるロシア人の参加は禁止されているという。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐっては、ウクライナの女性や子どもなどがロシア兵から性暴力を受けているとの報告が相次いでいる。
ウクライナの首都キーウを拠点に活動する人権団体は、10代の少女が被害に遭ったり、レイプされた後に殺害されたりするケースがあったと証言する。
レイプ被害の報告が増えていることを受け、緊急避妊薬を現地に届けるボランティアの活動も報じられている。