アメリカの俳優で起業家のグウィネス・パルトロウが手がけるライフスタイルブランド「goop(グープ)」が、本格的に日本に上陸した。
2019年春に日本へ初進出し、約1カ月の期間限定ショップを開催したgoop。それから約3年の時を経て、ついに2022年2月17日に、日本版公式ウェブサイトをローンチした。
goopは「クリーン」なライフスタイルを提唱しており、ウェブサイトではその信念に沿った商品やコンテンツを提供している。
一方、海外ではヴァギナに入れる卵型ヒスイや「私のヴァギナの香り」キャンドルなど、物議を醸すアイテムを販売してきており、「高価で無意味」な製品を売っているなどと皮肉られることも多い。
特にウェルネス(健康)に関するアドバイスや商品は、科学的根拠の欠如が指摘され、訴訟になったこともある。
それでも、今や2万5000米ドル以上(約260億円)の市場価値があるとされるgoopの世界観を体験しに、日本版ウェブサイトローンチと共に開催されている期間限定ショップを訪れた。
【噂の「私のヴァギナの香り」キャンドルを発見。気になる香りは?】
平日午前の東京・六本木。カラっと晴れた空の下、海外の洗練されたセレクトショップのような雰囲気を漂わせているショップを発見。表には大きく「goop」の文字。間違いない、ここだ。
ショップに一歩足を踏み入れると、ほんのりと柔らかい香りに包まれる。スタッフに聞くと、特に香りは炊いていないそうだが、置かれている商品のキャンドルの香りが混ざったものだという。
小さな店内には、ベーシックカラーを基調としたアパレルや、いくつかのスキンケア用品、珍しいネーミングのキャンドルなどが並ぶ。
そこには噂の「私のヴァギナの香り」キャンドルも。
香りを嗅ぐと、なんとも甘い優しい香り。ゼラニウムやダマスクローズなどが調合されているという。これがグウィネスのヴァギナの香りなのか?...それは彼女のみぞ知る。
「このネーミングは、問題提起の役割を担っています。女性の性をもっと自由に解放していこう、自分の体にもっと向き合って大事にしていこう、というメッセージと共に、日常の中でこういう話をもっとしてもいいんじゃないか?と私たちは考えています」とメディア担当の金沢由紀子さんが教えてくれた。
ちなみに、他にも「私のオーガズムの香り」キャンドルもあり、そちらはグレープフルーツやネロリなどが調合されていて、どちらかというと爽やかな香りだ。
強烈なネーミングに惹かれ、話題作りのためギフトに1つ...と思い値札をチェックすると、まさかの1万2650円!
話題作りにはあまりにも高すぎるので断念した。
キャンドルだけではない。店内の商品はどれも高価なものばかり。1番お手頃価格な商品の1つ、リップバームでさえ2530円だ。
金沢さんによると、goopは「セレブブランドではなく、一般の人たちが楽しく買い物できるようなブランド」としての認識を広めたいとのことだが、この価格帯は一般の人にとっては「楽しくない」はずだ。
そのため、「毎日のライン使いするのではなく、ご褒美感覚で使ってほしい」と金沢さんは話す。
ちなみにショップに来店する客層は、意識が高く「知識が欲しい」という30〜40代の女性が多いという。
【批判も多かったウェルネス商品。日本では?】
店内を見回すと、アメリカで医療的根拠がないと批判を受けたヴァギナに入れる卵型ヒスイを含め、ウェルネス商品はあまり見当たらない。また、日本版ウェブサイトにも、アメリカで炎上したウェルネスアドバイスなどは今のところ掲載されていないようだ。
こうした海外での指摘については「非常にセンシティブに捉えている」と金沢さんは話す。
「グウィネスのやり方はアメリカのやり方。日本では、日本の土壌・文化に合ったものを合ったやり方で打ち出して行きたい」
少なくとも今のところ、噂の卵型ヒスイを日本のgoopショップで見ることはなさそうだ。
【日本での今後の計画は?】
日本の期間限定ショップは6月5日までだが、ウェブサイトの商品やコンテンツは今後も随時アップデートしていくという。また、イベントやリトリートも計画中で、2023年にはフラッグシップショップのオープンも検討中だそうだ。
もっと学んで自分の考えでものを買う、意識の高い人たちを増やしたいーー。
それがgoop japanの願いだという。
さて、ひと通りの質問に答えて頂き、ブランドストーリーや商品の説明を受けた私。
せっかく来たので何か買って帰りたい、と店内を5周ほど回っただろうか...。気になる商品はいくつかあるものの、値段的に即決できるものはなかった。
結局「ちょっと考えます」と気まずい一言を残し、手ぶらでショップを後にすることとなった。