ゴールデンウィーク(GW)は過ごし方によっては生活リズムを乱し、連休明けの不調につながることがあります。
ウェザーニュース気象病顧問アドバイザーで愛知医科大学客員教授・中部大学教授の佐藤純先生に、連休終盤の過ごし方のアドバイスをいただきます。
連休明けは五月病リスク?
五月病は、気分が沈んだり頭がぼんやりしてしまい、ひどいと無気力になって登校・出社できなくなることもあるものです。5月の連休明けに起きやすいとされていますが、佐藤先生は、生活環境の変化のほか、季節的な影響、新型コロナウイルス対策による人との交流の変化などを指摘します。
「一般的に言われているように、5月は新入学や異動・転勤などで生活環境が変化した人たちの緊張が切れ、心身に不調が出やすい時期です。また、今年は4月から初夏を思わせる陽気になったり、5月には梅雨に近い天候になるとの予報があるように、季節が前倒しになっています。急な変化に体の対応が難しくなっているといえます。
さらに、在宅勤務やリモート授業の影響で、人と直接交流する機会が少なくなっているのも見逃せません。人は、人と集い情報交換することを好む生き物なので、知らずしらずのうちに精神的な負担となることがあります。
また、緊張感から痛みなどの不調を感じなくなっている人が、連休で緩むことにより偏頭痛を起こすこともあります。こういった影響から、急に会社や学校に行けなくなってしまうのも、広い意味での五月病といえるでしょう」(佐藤先生)
本来ならば、5月の連休は疲れやストレスをリセットできるよい機会です。しかし、気分転換のつもりが、逆に心身の不調につながる可能性もあるというのです。
意識したい連休終盤の過ごし方とは?
連休明けから梅雨に向かって心身の不調に陥らないため、連休の終わり数日の過ごし方は、次にあげる3点を意識するとよいでしょう。
(1)家で◯◯三昧だった人は…
→3日前から生活リズムを立て直す
趣味を楽しむのは悪いことではありませんが、ゲーム三昧で過ごすなど、集中するあまり生活のリズムがズレてはいないでしょうか。また、日頃の疲れを取ろうと、ずっと寝て過ごすのもよくないといいます。
「連休明けに時差ボケ状態になるのが問題です。朝決まった時間に起きて活動し夜眠るという生活リズムは、案外心身の健康に影響するものです。疲労が溜まっている場合、十分な睡眠で回復するのは大切なことですが、ほどほどが重要。
連休明けからは、新入社員や新入生も仕事や学業が本格的になります。時差ボケ状態では、ダメージを受けやすくなってしまいます。
リズムのズレを直せるのは1日1時間くらいです。朝7時に起きるのが9時など遅くなっているのなら、3日前くらいから1時間ずつ戻していきましょう」(佐藤先生)
(2)過密スケジュールだった人は…
→最終日は予定を詰め込まず調整日に
旅行や遊びに出かけ、楽しさのあまり無理をしてしまってはいないでしょうか。
「旅行などでは、食事や活動のリズムが普段と大きく変わることが多いですね。
食事も、普段と違ったものを違った時間に食べることが多く、胃腸に負担がかかっています。5月は冬用の食事から夏用の食事に変わる中間にあたり、調子を整えにくいことも重なってしまいます。
連休明けにドッと疲れが出ないよう、最低でも最終日は休み、いつもの生活に近いリズムにしましょう。旅行中でも朝ごはんをいつもと同じものを選ぶなど、元のパターンを意識するのも効果的です。何気ないことのようで脳への刺激を整えていくのです」(佐藤先生)
(3)不調の兆しがある人は…
→早めに対処で悪化を防ぐ
日頃の緊張が解けたことで頭痛などが起きる場合は、どうしたらよいのでしょうか。
「頭痛など不調の兆しを感じたら、頭痛薬を飲むなど早めに対処することです。耳周りの血流をよくするための『くるくる耳マッサージ』や、首のコリをほぐす『雨ダルさん体操』でもよいでしょう。頭痛になったときの自分なりの治し方がそれぞれあると思うので、意識して早めに立て直すことです」(佐藤先生)
日中に軽く走ったり散歩するなど、適度な活動もよいといいます。
「連休明けに心身の調子が崩れやすいのは確かです。崩れてしまったものを戻すのは大変なので、崩さないよう予防することが大切です。休み中も普段の生活リズムを守るのが基本ですが、前半にズレてしまったのなら今から少しずつ整え、連休明けにパフォーマンスが下がらないようにしましょう」(佐藤先生)
連休明けを元気に、充実した生活が送れるよう心がけたいですね。
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