東武鉄道は4月末、東武アーバンパークライン(野田線)に新型車両を導入すると発表した。2年後の2024年度から、現在の6両編成の車両を5両編成に順次入れ替える方針だ。
同社が発表した4月28日には「東武野田線」がTwitterのトレンドに入るなど、ネット上は盛り上がりを見せた。現在の車両の廃止を惜しんだり新型に期待を寄せたりするだけでなく、「5両で足りるわけない」「いつも混んでいる状態になりそう」「(沿線にキャンパスがある)東京理科大生が涙目」などと混雑を懸念する声も相次いでいた。
乗客の懸念がある中、一体なぜ、車両を減らすのか。ハフポスト日本版は東武鉄道に理由を尋ねた。
「コロナ前には戻らない」
東武アーバンパークラインは東京近郊の船橋(千葉)と大宮(埼玉)をつなぎ、2021年10月〜22年3月には1日あたり平均で40万人が利用した路線だ。柏(千葉)でJR常磐線、流山おおたかの森(同)でつくばエクスプレス線、春日部(埼玉)で東武スカイツリーライン(伊勢崎線)に接続する利便性から、千葉や埼玉から都心に通勤・通学する乗客の輸送を担う。
ただ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、乗客数の減少は免れなかった。感染対策のため、在宅勤務をしたり外出を自粛したりする人が増えたことで、20年度の「混雑率」は19年度と比べて33〜48ポイント減少したという。
21年度の混雑率はまだ集計中だというものの、同社の担当者は「20年度と比べたら多少持ち直しているだろうが、これからもコロナ前(19年度以前)の乗客数に戻るとは思えない」と説明する。
コロナ下での乗客数の減少から、車両数を再検討する流れに。最終的に、1編成あたり1両ずつ減らすことで、省エネやコスト削減につなげる決断に至ったという。
「適切なダイヤを検討、女性専用車両は維持」
ネット上では、車両が1両減ることで、朝のラッシュ時間帯などの混雑を懸念する声が相次いだ。
同社の担当者は「乗客の不利益にならないよう、適切なダイヤの検討に努める。もしも乗客数が増えれば、運行本数を増便することも考える」と説明する。
平日の始発から午前9時までのラッシュ時間帯には、上下線で「女性専用車両」を1編成に1両設けている。ネット上では、車両数の削減により女性専用車両が廃止になる可能性についても憶測が飛び交った。
同社の担当者は「女性専用車両は痴漢対策に必要だと認識しており、新型車両でも廃止することは考えていない」と話している。
新型車両のデザインはこれから
同社によると、現在の車両は30〜50年ほど走り続けており、老朽化だけでなく設備の古さも目立つ。
入れ替わる新型車両は、車内の混雑状況や温度などのデータをリアルタイムで集約できる最新設備などを搭載する予定。1編成あたりの使用電力量やCO2排出量などの減少につなげられる見込みだという。
新型車両のデザインなどは、まだ検討段階。現時点で公開できる写真や図版などはないそうだ。
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉