スタジオジブリの人気アニメ『魔女の宅急便』。
1989年公開の言わずと知れた名作ですが、中でも印象的なのが、宅急便の仕事を始めた主人公のキキが、女の子にニシンのパイを届けるシーンです。
4月29日に日本テレビ系の金曜ロードショーで放送されると、このシーンをめぐって、ネット上では様々な意見があがっています。番組の公式Twitterでは、監督を務めた宮崎駿さんの考えを発信しました。
どんなシーン?「あたしこのパイきらいなのよね」の一言
キキに仕事の依頼をした老婦人は、孫娘のパーティーのためにニシンのパイを作ろうとしますが、オーブンの調子が悪くて上手くいきません。キキは慣れた手つきで薪を使って焼くのを手伝い、焼きたてのニシンのパイを孫娘の元に届けます。
大雨にさらされ、濡れないように気遣いながら運ぶキキ。しかし玄関先で、孫娘は「おばあちゃんからまたニシンのパイが届いたの」と家の中に声をかけ、受取証にサインしながら「あたしこのパイきらいなのよね」とつっけんどんに一言。キキは傷ついたような表情を見せます。
その後キキは自分の「仕事」について悩み、さらには、風邪を引いて寝込み、ほうきで飛べなくなるというスランプにも陥ります。
宮崎駿さんの考えは?「世間にはよくある事」
金曜ロードショーの公式Twitterは、放送中に作品に関わる豆知識を発信。そのひとつとして、このニシンのパイのシーンについて「ショックをうけた方も多いのではないでしょうか」と言及し、 孫娘の喋り方を「気に入っている」という宮崎さんの言葉を紹介しました。
「僕はあのパーティーの女の子が出てきた時のしゃべり方が気に入ってますけどね。あれは嘘をついていない、正直な言い方ですよ。本当にいやなんですよ、要らないっていうのに、またおばあちゃんが料理を送ってきて、みたいな。ああいう事は世間にはよくある事でしょ。
それはあの場合、キキにとってはショッキングで、すごくダメージになることかもしれないけど、そうやって呑み下していかなければいけないことも、この世の中にはいっぱいあるわけですから 」
「子供の頃は嫌な人と認識してたけど…」
ニシンのパイのシーンをめぐっては、Twitter上で以下のような見方があがっています。
「子供の頃は単純に嫌な人と認識してたけど、大人になるとなんとなく事情を察してしまう」
「孫が感じてるありがた迷惑に近い気持ちもすごく分かる」
「文句言いながらも受け取ってるし、キキのことも特に悪く言ってないし、いい子」
「孫娘も大人になったら考え方が変わるかもしれない。ニシンのパイを懐かしく思い出す日がくるかも」
子どもの頃から親しんできた人が多いジブリの作品。年を重ね、感じ方が変わったり、新しい見方ができるようになったりしたという声が多くあがり、ジブリの作品の奥深さに、あらためて注目が集まっています。