東工大のクッキーが「19人集めないと喧嘩になる」と話題に。なぜ素数?生協とメーカーに聞いてみた

新入生が買う定番の特製クッキーの個数を東工大理学院長が投稿し、話題になっている

理工系の東京工業大学の生協で売られているクッキーが「19人集めないと喧嘩になる」と話題になっている。注目されているのは、味でも、見た目でもなく、クッキーの個数。個数は19個で、1と19以外の数で割り切れない「素数」だったからだ。

東工大の生協で販売されているクッキーは大学のマーク入りだ
東工大の生協で販売されているクッキーは大学のマーク入りだ
東京工業大学生活協同組合

実際にクッキーを買った東工大理学院長の久世正弘教授が4月4日、19個入りと書かれたクッキーの写真を添え「さすが、わかってる」と投稿。

東工大クッキー、19個入り(素数)。さすがわかってる。 pic.twitter.com/74ireuZBTD

— 久世正弘/Masahiro Kuze (@SciDean_Tokodai) April 4, 2022

数字好きとみられる人たちが反応し、ネット上では「素数好き」「(素数ではないが)91個入りも作ってほしい」などと盛り上がりを見せている。

個数が素数のクッキーはあえて?

このクッキーには、東工大のシンボルマーク「窓ツバメ」が描かれている。大学名がプリントしてある缶に入っており、学内では「新入生や卒業生の記念品の定番」(生協の担当者)として知られる。

缶を開けると、ピスタチオやアーモンドなど6種類のクッキーが並ぶ。全種類を同じ枚数だけ楽しめるとしたら、缶の中の個数は6の倍数になるはずだがーー。

理系の最高峰で、“数字に強い大学”として知られる東工大。19個という素数のクッキーを、あえて選んだのだろか。

東工大の生協に取材してみると「19個になったのは、たまたま」だという。

製造元のコロンバン(東京・中央)は東工大のクッキーと同じシリーズの商品を9個入り、19個入り、33個入り、50個入りの4種類で展開している。生協の担当者は「個数が多いと価格が高くなり学生が購入しづらく、少ないと缶の費用の負担が大きくなってしまう。バランスをとり、東工大では19個入りだけを扱うことにしました」と説明。

一方で、担当者は「クッキーの販売開始前から、生協職員の間では『素数だ』と気付いて喜んでいました」とも話す。

東工大の関係者にとっては、素数はあるあるネタのようだ。

めずらしいクッキー、購入を即決

ツイートをした東工大理学院長の久世正弘教授にも話を聞いた。

クッキーを見つけたのは、東工大の入学式が開催された4月4日。新入生であふれかえるキャンパスを散策するうち、「せっかくだから、大学のロゴが入ったお菓子でも買って、家族で食べよう」と思いつき、生協に向かったという。

「東京工業大学クッキー19個入り」。何気なく手に取ったクッキーの賞味期限を確認しようとパッケージを裏返すと、数字に目がいった。「素数だ!このクッキーは『割り切れない』ぞ」。そう気付き、めずらしさから購入を即決したそうだ。

素数は「狙ったわけじゃない」

クッキー6種類のうち、久世教授のお気に入りでコーヒー風味の「カフェアマンド」を含む5種類は、3個ずつ入っている。残る1種類だけは4個入りで、全部あわせて19個になる計算だ。

1個多く入っているのは、葉っぱ型の「フィユプラリネ」。製造元のコロンバンは「他のクッキーよりも薄くて軽いので、1個増やしました。素数にすることを狙ったわけではありません」と説明する。

「円周率のグッズもほしい」

久世教授の投稿には4月7日時点で2000件のリツイート、1.3万件の「いいね」が寄せられている。久世教授は「大きな反響に驚いた。東工大になじみのない人にも親しみを持ってもらえたら」と期待する。

東工大ならではの「次回作」はあるかーー。

久世教授によると、東工大の入試では数学の配点が最も高く、試験時間は3時間に上るため、「高校時代から数学を重点的に勉強し、数字自体に関心のある学生も多い」という。「素数に続いて円周率のグッズができたら、学生もきっと喜ぶと思います」

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