ロシア軍の攻撃により火災が発生したと報じられたウクライナの原子力発電所「ザポリージャ原発」。
ウクライナのクレバ外相は日本時間3月4日朝、「ロシア軍はヨーロッパ最大の原子力発電所であるザポリージャ原発にあらゆる方向から発砲しています。すでに火災が発生しています」とTwitterで伝えた。
ザポリージャ原発とは、一体どんな原発なのか。これまでの経緯とともにまとめた。
どんな原発?
ウクライナ南東部にある、ザポリージャ州のエネルホダル市。ザポリージャ原発は、ドニエプル川沿いにある。
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ザポリージャ州は、ロシアが2月末に「独立国家」として承認した親ロシア派の地域のうちの1つであるドネツク州の西側に位置している。
ザポリージャ原発は、1986年に爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発からは南東に約520キロ離れた場所にある。チェルノブイリ原発は現在、閉鎖済みだ。
国際原子力機関(IAEA)によると、ザポリージャ原発はウクライナに現在15基ある原子炉のうち、6基を有する国内最大の原子力発電所。原子炉はいずれも出力100万キロワットで、ウクライナは2020年の時点で電力供給の51.2%を原子力が占めている。
ロイター通信によると、ウクライナの総電力の5分の1以上を担っているという。ヨーロッパで最大の原発だ。
クレバ外相は、「爆発すれば、チェルノブイリ原発事故の10倍の被害になる」とTwitterで警告している。
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ザポリージャ原発をめぐるこれまでの経緯は?
ロシアがウクライナに軍事侵攻したのは2月24日。IAEAのグロッシ事務局長はこの日に声明を発表し、「IAEAの全加盟国が集まる年次総会は2009年に、『平和利用目的の原子力施設に対する武力攻撃や脅威は、国連憲章、国際法、IAEA憲章の原則に違反する』との決定を採択している」と強調していた。