「オリンピック精神に反し失望」北京五輪中の報道引き締めを記者クラブが批判。テレビ中継に「割り込み」も

中国外国人記者クラブは、国家機関の介入という脅威を受けずに取材を実施させること、そして公の場で自由に報道ができるようにすることを求めている

中国に駐在する外国人記者らで構成されるFCCC=中国外国人記者クラブは2月21日、北京冬季五輪期間中の報道環境について「オリンピック精神に反して報道環境が引き締められたことに失望している」などと批判する声明を発表した。

■中継が始まった途端に...

FCCCは声明で、独立した報道を行うための環境が、北京冬季五輪期間中も国際標準を下回っていたと指摘し、「オリンピック会場の外で取材しようとすると、治安当局などに尾行されたり、手荒な扱いを受けたりすることがある」とした。

例として、オランダの公共放送・NOSの記者が北京市の街頭から中継していたところ、警備担当者とみられる男性(声明では「私服警備員」)に移動するよう命じられたことをあげた。声明によると、この記者は数分前に警察から指示された場所に立ち、中継を実施しようとしていたという。

当時の動画をNOSがアップしている。中継が始まるとすぐに、警備員とみられる男性が画面に入り込み、リポーターを抱きかかえるようにして「あちらへ移動してくれ」と声をかけている。リポーターは中国語で「待ってくれ。今中継しているんだ」と訴えるが、聞き入れられない。中継はそのまま中断された。

IOC=国際オリンピック委員会の広報担当者は「不幸な状況だった」とし、「極端な例だ」と話している。

FCCCはほかにも、取材が妨害されたケースを挙げている。

例えば、アメリカの記者がオリンピックの公式店舗外で大会マスコットに関する取材をしようとしたところ、いかなるインタビューも外務省に問い合わせるよう言われたという。

また、オリンピック関連の記事を担当した複数の記者が、ネット上で嫌がらせに遭った。中国メディアや外交官によって攻撃を煽られたケースもあるという。

FCCCは「オリンピック精神に反して報道環境が引き締められたことに失望している」とし、中国当局に対して、国家機関の介入という脅威を受けずに取材を実施させること、そして公の場で自由に報道ができるようにすることを求めている。

FCCCは1月31日にも報告書を発表し、中国での取材に「前例のない障害」が生じていると指摘していた。

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