北京オリンピックのスノーボード男子ハーフパイプで金メダルを獲得した平野歩夢選手の2本目の採点に、波紋が広がっている。
1回目に続いて五輪史上初の大技「トリプルコーク1440(斜め軸に縦3回転、横4回転)」を鮮やかに決めた上、高難度の技を次々と成功させたが、91・75で暫定2位。
アメリカのオリンピック放送権を持つNBCスポーツは実況席が「こんなことが起きるのが信じられない」と異議を唱える場面があった。
NBCスポーツによると、解説を務めたスノーボーダーのトッド・リチャーズ氏は、平野選手の2本目の試技を「ハーフパイプ史上最高のラン」を評した。
ところがジャッジが暫定2位となる点をつけたため「私から言わせれば、ジャッジは信頼を粉々にしたようなものだ」と酷評。
「私は長いこと解説をしているが、素晴らしいランがどのようなものかや、勝ち切るランの要素を理解している。ハーフパイプ史上最高のランを見れば分かる」と強調した。
「どこを差し引く(減点する)ところがあったのか教えて欲しい」と採点を疑問視した。
リチャーズ氏はTwitterでも、リスクをとって技に挑んだ選手を評価するべきだと訴えた。
「ライダーたちは文字通り命をかけてトリック(技)に挑んでいます。平野選手のトリプル(コーク)は誰も太刀打ちできません。ハーフパイプで披露された中で最もリスクのある技です。(その挑戦に)報いるべきです」
平野選手は最終3本目も「トリプルコーク1440」など全てのトリックを成功させ、2本目を上回る試技で96.00点を記録。逆転金メダルに輝いた。
これにはリチャード氏もTwitterで「歴史が生まれた」と歓迎。「平野選手の技のコンビネーションはスノーボード史上最難関のランだった」と賛辞を送った。
「選手の最大のリスク、もっと評価して」
平野歩夢選手は2月12日の記者会見で、ハーフパイプの採点について問われて、次のように答えた。
「選手が最大のリスクを抱えてやっているものに対して、もっとしっかり評価してジャッジするべきだと思う。全部を測れるシステムは今後、他の競技はあるので、スノーボードもちゃんと大会と大会じゃないものを切り分けて、そういうものをするべき時代になってきたのではないかという気がします」