0歳の息子と利用したファミレスで、店員さんの思わぬ気遣いに涙が流れた--。
そんな体験を描いた漫画に、多くの共感が寄せられています。
作者は、漫画家のるしこさん(@39baby_com)。3年前、るしこさんの子どもが生後半年を過ぎた頃の出来事でした。
離乳食とミルクの仕度で手一杯で、朝と昼の食事を忘れていたるしこさん。外出先で空腹に襲われました。
『なんか最近こんなんばっかだ』
忙しすぎて会社に泊まり込みの夫。夜泣きが勃発する息子...。離乳食を作る→あげる→作るの繰り返しで終わる毎日でした。
『ファミレスなら抱っこしたまま 軽く何かつまめるかな...』
るしこさんは、眠っている息子を連れてファミレスに入ることに。息子と一緒だとすぐに気づいた店員さんは、座敷を勧めてくれました。
『このお店 座敷あったんだ』
以前にも来たことがある店でしたが、るしこさんが出産後に利用するのは初めてでした。
息子はスヤスヤと眠ったまま。
るしこさんはその間、定食をガッツリ平らげました。
『うっっっま』
「あの、お客様...」
食事中、店員さんがるしこさんに近づき、こう尋ねました。
「そちらの定食、セルフドリンクが付くんですけど 赤ちゃんの横離れるの心配だったらお取りします」
良かったら...と気遣ってくれる店員さん。るしこさんは思わず涙が溢れました。
『自宅の外に出て大人の誰かと会話し 人の作ったご飯をゆっくり食べ
更に知らない人に突然親切にされる という最強カードを切られて普通に泣いた』
店員さんの心配りに触れた時、どのような気持ちだったのでしょうか。当時の状況をるしこさんに聞きました。
「セルフドリンクが付いているのはメニューを見て知っていたのですが、横で子どもが寝ていることもあり、久しぶりの外食でお水とご飯があるだけで十分幸せでもあったので、ドリンクは飲まないつもりでした」(るしこさん)
ドリンクを代わりに取りにいくという申し出に、るしこさんは「予想外の気遣いがとてもうれしかった」と振り返ります。
「一人前」のご飯に満たされた
るしこさんは漫画の中で、当時「いろんなことが重なっていた」とつづっています。
「息子はその頃まだ赤ちゃんで言葉を話さず、夫も週に何度か0時過ぎに帰ることができれば良い方という状態で、人と会話することがほとんどありませんでした。自分の投げかけた言葉に『お母さん』ではなく、『お客さん』として尊重してもらえることがこんなにありがたいのかと身にしみました」
忙しい毎日で、るしこさんは自身の食生活に気が回らなかったといいます。
「息子の離乳食づくりで余った野菜やパンをつまむなど、適当な食事をとっていたので、久しぶりの『温かくて美味しい一人前のご飯』にいろんなものが満たされる思いでした」
実体験を描いたるしこさんの漫画に、「あの頃の精神状態ほんとこんなんだったわ」「気持ちが分かりすぎる」「身に覚えがありすぎる」などと自らを重ねる人の声も相次いでいます。
るしこさんは「今まさに同じような思いをしている親御さんのおうちに行って、ご飯を作って赤ちゃんあやして雑談したい...!と思ってしまいます」と話します。
子育て中の人を思いやる店員さんの対応には、ネット上で「この店員さんのような人でありたい」「感謝しかない」「いいお店だなあ」など称賛のコメントが寄せられています。