北京オリンピック開幕直後からスキージャンプは注目の試合が目白押しだ。2月6日には小林陵侑(こばやし・りょうゆう)選手らが出場する男子ノーマルヒル・決勝が行われる。
2月5日は女子ノーマルヒル決勝が行われ、日本の高梨沙羅選手は健闘するも4位で、惜しくもメダルに届かなかった。
高梨選手の結果について、複数の競技解説者が勝負を分けた要因として挙げたのが「テレマーク」を含む飛型点だった。テレビ中継の際にも頻繁に聞かれるテレマークやK点などの用語には、どんな意味があるのか紹介する。
「テレマーク」とは?メダリストも指摘した勝負の分かれ目
よく聞かれる「テレマーク」という用語。諸説あるが、元々はノルウェーの地名に由来する言葉で、ノルディックスキーの代表的な回転および停止技術のことを指す。
雪印メグミルクスキー部による用語解説によると、「かつてノルウェーのテレマーク地方の少年たちがこのようなポーズをとったため」と説明されている。
ジャンプ競技では雪面に着地する際に要求される姿勢のことで、採点項目となる「飛型点」の重要な要素となっている。左右のスキーの板を前後にずらしてひざを深く曲げる姿勢が基本だ。
長い距離を飛んだ上で美しい姿勢を維持できた場合は高得点となる一方、姿勢がとれなかったり不安定な姿勢だった場合には減点対象になる。
1998年の長野オリンピック男子団体で金メダルを獲得したメンバーの1人で解説者の斎藤浩哉さんは、5日の高梨選手の結果について、テレマークの出来が勝負の分かれ目」となったとテレビ番組で指摘した。
斎藤さんは同日放送されたNHK『北京オリンピック デイリーハイライト』で、テレマークの理想形と今回の高梨選手の例を実演して解説。
高梨選手の2回目のジャンプは飛距離が100メートル以上だったが、テレマークが不十分だったため「飛型点」の採点に影響したと言及した。
K点、ヒルサイズ...気になる言葉は他にも
競技中継では、他にも気になる用語がいくつか出てくる。
例えば、「K点」だ。実況アナウンサーは「K点を越えてきた」という表現で頻繁に選手のパフォーマンスを描写する。
tenki.jpによると、「K点」という用語はドイツ語に由来するという。建築基準点を意味する「Konstruktionspunkt」の頭文字を取って「K点」と呼ばれていて、飛行可能な距離が何メートルの設計かを示したものと説明されている。
競技では飛行距離がK点をどのくらい超えた、もしくは足りなかったかで飛距離点として加点や減点がされる仕組みだ。
また、ジャンプ雪印メグミルクによる用語解説では「本来『これ以上飛ぶと危険』という意味合いを持つ飛距離の基準点」と示されている。
その他によく聞かれる用語としては、「ヒルサイズ」がある。例えば「ヒルサイズの大ジャンプ」などと表現される。
男子ノーマルヒル・決勝に出場する小林潤志郎選手の妹でCHINTAI スキークラブの小林諭果選手による説明によると、「ヒルサイズ」とは、踏み切りの先端からランディングエリアの限界点までの距離を指すという。
ヒルサイズはK点より遠くに設定され、選手がこの距離を越える飛行をすると危険を伴うことから競技の続行について審議されることがあるという。
スキージャンプ競技は男子ノーマルヒル決勝や男子ラージヒル、団体戦も控える。用語の意味がわかると、テレビ観戦が一層楽しくなりそうだ。