『ドカベン』『あぶさん』『野球狂の詩』など、野球漫画の第一人者と知られる漫画家・水島新司(みずしま・しんじ)さんが1月10日、肺炎で死去した。82歳だった。朝日新聞デジタルなど報道各社が報じている。
水島さんの訃報を受け、SNS上では多くの著名人が反応。漫画家からも追悼のメッセージが送られている。
森川ジョージさん「どれほどの人に影響を与えたのでしょうね」
ボクシングを題材にした人気漫画『はじめの一歩』などで知られる森川ジョージさん。「160キロの豪速球、老いてなお現役、僕らが小学生だった頃夢として描かれていたことが次々と現実になりました」とつづり、「どれほどの人に影響を与えたのでしょうね。凄い作家、としか形容できません。ご冥福を御祈りします」と追悼した。
水島さんは、『はじめの一歩』が2012年に「少年マガジン2013年1号」(講談社)で連載1000回を達成した際に、同誌の記念号にイラスト入りのコメントを寄せた。森川さんはその写真も投稿し、「水島新司先生、本当にありがとうございました」と感謝の言葉もつづった。
椎名高志さん「小学生の限られたおこづかいで単行本めっちゃ買った」
『絶対可憐チルドレン』などで知られる漫画家の椎名高志さんは、水島さんの『男どアホウ甲子園』に関する思い出をツイートした。
「小学生の限られたおこづかいで単行本めっちゃ買った」といい、好きなキャラクターの思い出を懐古。「行くでえ、豆タン!」や「はいな、あんさん!」など、同作に登場するセリフについて、「今もときどき内心つぶやいているなあ」と、その影響を振り返った。
江口寿史さん「千葉パイレーツは東京メッツへのオマージュでした」
『ストップ!! ひばりくん!』、『すすめ!!パイレーツ』などで知られる漫画家でイラストレーターの江口寿史さんは水島さんの訃報のニュースを引用RTして反応。
江口さん作の野球漫画『すすめ!!パイレーツ』に登場する架空のプロ野球チーム「千葉パイレーツ」は、『野球狂の詩』に登場する東京メッツへのオマージュだという秘話を明かした。
幅広い世代に愛された漫画家。2020年12月に漫画家引退の意向
水島新司さんは1939年新潟県生まれ。野球を題材にした漫画を多数発表した。
1972年から「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で連載していた『ドカベン』は2018年6月に全シリーズが終了。46年の歴史に幕を閉じた。
また、1973年から41年「ビッグコミックオリジナル」(小学館)で連載していた『あぶさん』は2014年に最終回を迎えた。
2005年には紫綬褒章、2014年には旭日小綬章を受章するなど、国民的に知られる漫画家の一人だった。野球関係者にもファンが多く、プロから子どもたちまで幅広い世代に愛された。
2020年12月1日には所属事務所を通して漫画家の引退の意向を示していた。