ドラマは、吉川英治文学賞を受賞した村山由佳さんの評伝小説が原作。向田邦子賞受賞の矢島弘一さんが脚本を担当する。
奔放に生きた女性運動家、伊藤野枝とはどんな人なのか?
伊藤野枝は1895年、福岡県今宿村に生まれた。
平塚らいてうが創刊した“女性による女性のため”の文芸誌「青鞜(せいとう)」の2代目編集長を務めた。男尊女卑の色濃い時代に対抗して、女性の地位向上や自立、解放を求める文筆活動を行った。
辻潤と離別後、無政府主義者の大杉栄と思想と行動を共にしたが、1923年に発生した関東大震災の混乱に乗じて、憲兵隊に大杉とともに虐殺された。その時、わずか28歳だった。
朝日新聞デジタルは、「国に盾突いたとして死後も冷遇され、業績に比べ複数の男性と離縁したことなどが注目されがちだった」と伝えている。
大役に吉高さんは、「台本を見た瞬間、分厚さに驚き、読み終えると、見た目の分厚さの何倍もの重量が心に覆いかぶさってきて、自分の中に取り込んだ情報を紡ぐのに、しばらく動けませんでした」とコメント。「伊藤野枝という1人の女性が危険と恐怖に戦いながら、命懸けで現代に残してくれた叫びを令和に残すのが私の使命だと思って怯えながらも、頑張ります」と意気込みをつづった。
■原作 村山由佳さんのコメント全文
モニターに映し出された吉高由里子さんのうなじをひと目見るなり、鳥肌が立った。野枝だ、野枝がそこにいる…! 圧倒的な存在感と映像の持つ威力に息を呑んだ。
史実といえど百年も昔のこと、いささか遠い話かと書く前は思っていた。
そうではなかった。野枝や大杉たちが闘い、そして破れた相手は、今なお我々を脅かしている。
命を賭してでも「NO!」と声をあげることをやめなかった彼らが、現代を生きる私たちに何を突きつけてくるのか──ドラマ化を機にもう一度見きわめ、肚をくくり直したい。
■吉高由里子さんのコメント全文
台本を見た瞬間、分厚さに驚き、読み終えると、見た目の分厚さの何倍もの重量が心に覆いかぶさってきて、自分の中に取り込んだ情報を紡ぐのに、しばらく動けませんでした。
文字の一つ一つの意志がとても強く、この作品を撮影するなかでどれだけ揺さぶってくる日々がくるのかと、これは大きな覚悟が必要だと感じました。
大正時代、伊藤野枝という1人の女性が危険と恐怖に戦いながら、命懸けで現代に残してくれた叫びを令和に残すのが私の使命だと思って怯えながらも、頑張りますので見届けて頂けたら幸いです。