大手家具メーカー、イケア・ジャパンが12月に公開したCMに、さまざまな意見が上がっている。
物議をかもしているのは、トレイテーブルのCMだ。床に散乱した飲み物などが描かれた後、男性や子供がソファに座っている中、母親と思われる女性がポップコーンなどを運ぶという内容だ。
CMの放映は12月末に終了しているが、1月7日午前8時時点で、YouTubeで見ることができる。
イケア・ジャパン キャンペーン(公式)のツイートには、「幸せそうな家族」といった意見がある一方、CMは女性が最後まで座らないなど男性との対比の印象が強く、「女性は召使いじゃない」「ジェンダーギャップを感じる」といった批判も多い。
IKEAのCM、何が問題?
著書「炎上CMでよみとくジェンダー論」(光文社新書)で知られる、東京大学大学院総合文化研究科の瀬地山角教授(ジェンダー論)は「CMには、典型的な炎上の要素が複数ある」と指摘する。
「まず、女性が家事をするという性別役割分業の追認が強く感じられること。重ねて、母親役とみられる女性が甲斐甲斐しく家事をするのに対し、男性はソファに座って食べながらゆっくりとテレビを見るという差も大きく、性による不平等から不快感を抱く人も多くいたと思う。
現実問題として、CMのような性別役割分担になっている家庭は多いと思う。特にクリスマスや年末年始の時期だからこそ、そういった役割に疑問や不満を持つ方々には特に、見るのがしんどかったと思う」と話す。
また瀬地山教授は「家具の購入意思決定には、女性も参加しているはずで、なぜこういった描き方をしたのか、疑問を感じる」と指摘する。
ハフポスト日本版は、イケア・ジャパンに対し、男女の不平等や性別役割分業の古い価値観を感じるといったCMへの意見をどう受け止めているかなど、複数の質問をした。
同社の広報担当者「CMは、トレイ部分の持ち運びができるテーブルの利便性・機能性を、家族が団欒を楽しむワンシーンのビフォア&アフターをお見せすることでお伝えしようという意図で制作いたしました」と説明。
「本CMについては様々なご意見があること承知しておりますが、イケアは平等こそが人権の中心であると考えており、誰もが平等に暮らせるように、家庭、ビジネス、社会などあらゆるコミュニティにおけるインクルーシブな環境づくりに力を注いでいます。イケアは、誰もが自分らしく暮らせる社会のために引き続き努めてまいります」と述べ、明言を避けた。