2021年に国内で観測された震度1以上の地震回数は2406回に達しました。2000回を超えるのは3年ぶりのことです。震度3以上の地震は233回を数え、うち6回が震度5強以上でした。震度5強以上の6回は熊本地震が起きた2016年(15回)以来の多さになります。
月別の地震回数で見ると、最も多かったのが12月の445回で次いで4月が430回に達しました。少なかったのが6月の117回です。400回を超えた4月と12月はともにトカラ列島近海の群発地震が発生していました。トカラ列島近海を震源とする地震は合計で594回で、今年の有感地震の4分の1を占めています。(12月28日まで)
国内:福島県沖でM7.3 震度6強を観測
2021年に発生した地震で、最も強い揺れを観測したのは、2月13日・福島県沖を震源とするマグニチュード7.3、深さ55kmの地震です。福島県相馬市や宮城県蔵王町などで震度6強を観測しました。消防庁によるまとめでは、宮城県と福島県を中心に35000棟を超える家屋の被害が確認され、2人の方が亡くなっています。
国内で震度6強の揺れを観測したのは2019年6月に山形沖で発生した地震以来、約1年半ぶりです。地震のメカニズムは西北西ー東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で2011年に東日本大震災を引き起こした超巨大地震の余震活動と考えられます。
また、3月には宮城県沖でマグニチュード6.9、5月にも宮城県沖でマグニチュード6.8、10月には岩手県沖でマグニチュード5.9の地震が発生、いずれも最大震度5強を観測しました。今年発生した6回の震度5強以上の地震のうち、4回が東北の沖合を震源としています。
国内:東京23区で10年ぶりの震度5強
10月7日に千葉県北西部を震源とするマグニチュード6.1、深さ約80kmと推定される大きな地震がありました。この地震で東京都足立区、埼玉県川口市、宮代町で震度5強を観測しています。
東京23区で震度5強以上の揺れを観測するのは、2011年に東日本大震災を引き起こした超巨大地震以来です。
世界:今年の世界最大規模はアラスカのM8.2
2021年、アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード7以上の地震は18回発生しました。去年(9回)に比べると2倍の多さで、マグニチュード8を超える地震も3回起きています。(12月28日まで)
最も規模が大きかったのは7月29日にアラスカ沖でマグニチュード8.2、深さ約35kmと推定される地震です。地震のメカニズムは北西ー南東方向に圧力軸を持つ逆断層型と解析され、規模が大きかったことから津波が発生しました。ただ、それほど大きな津波にはならず、震源に近い観測点で数10cm程度に留まりました。このエリアの地震で津波が伝わりやすいハワイやアメリカ西海岸でもわずかな海面変動は捉えられています。
太平洋プレートが北米プレートに沈み込んでいるアラスカ沖では度々巨大地震が発生しています。今回の震源とほぼ同じような場所では1938年にマグニチュード8.2の地震が起きており、少し西側では1946年にマグニチュード8.6の地震が発生しました。
世界:ハイチではM7.2の直下型地震 2000人を超える死者
大きな被害を及ぼした地震としては、8月14日に中米ハイチで発生したマグニチュード7.2の地震が挙げられます。
震源が陸域で浅かったことから、震央近くのハイチ南西部の半島では改正メルカリ震度階級のIXの激しい揺れがあったとみられます(単純比較は出来ないものの、日本の震度階級で5強から6弱に相当)。激しい揺れによって10万棟を超える建物が全半壊し、2000人以上の方が亡くなりました。
ハイチはカリブプレートと北米プレートの境界に位置しており、しばしば強い地震に見舞われています。最近では2010年1月に今回の震源の少し東側でマグニチュード7.0の地震が起きました。いわゆる「ハイチ地震」と呼ばれているもので、震源が首都であるポルトープランスなど人口密集地に近かったため、死者数十万人という世界の地震の中でも最悪クラスの人的被害を及ぼしています。
参考資料など
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。
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