「日常生活の中で気候変動について気づく仕組みを作りたい!」
「気候変動アクションをイケてるカルチャーにしたい!」
そんなメッセージを、モグラたたきのような穴から顔を出す学生4人が明るく呼びかける動画が公開されている。大学生の酒井功雄さん、黒部睦さん、三島のどかさん、そして高校生のナイハード海音さん。11月に結成した気候変動アクティビスト集団「a(n)action(アナクション)」のメンバーだ。
コミカルさの漂う動画を作ったのには理由がある。今秋、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開かれた英国・グラスゴーに行き、デモに参加した米国のアーラム大学で学ぶ酒井さんはフェス会場にいるような楽しさを覚えたという。「気候変動が悲壮感を感じやすい問題だからこそ、クリエイティブに反抗していく。いろんなアプローチがあっていいんだと思いました」
7年半をカウントダウン 気候時計とは?
世界では、気候時計は2020年9月にニューヨークに登場し、グラスゴーやソウルにも設けられた。COP26で平均気温上昇を1.5度に抑える努力を追求することが決まったが、その限度に達するCO2が排出されるまでのタイムリミットは約7年半後に迫る。
この危機をどうすれば広く知ってもらえるのか。アナクションのメンバーらは小型の気候時計を開発して、東京・渋谷の商店街や文化施設などに置いてもらおうと考えた。最終的な目標は100個。あちこちにある気候時計を目にしてもらうことで問題を身近に感じてもらうだけでなく、QRコードから表示される「政府による気候変動対策の加速を求める宣言」への共感を1タップで示せる仕組みにする。1万回宣言されるごとに環境省に通知し、民意を届ける計画だ。
第一歩となる最初の5個の開発費をはじめ、ウェブページや活動の道のりを記録するドキュメンタリー動画をつくるための費用などをクラウドファンディングサイト「READYFOR」で募っている。金額は1000万円。社会課題の解決を掲げる会社「SEAMES」(東京都)とともに2022年1月27日午後11時までの到達をめざしている。
若者が集まる渋谷の街に気候時計を置くことから、気候変動に対する行動の輪を大きく広げていくためのプロジェクト。国立音楽大学2年の黒部さんは「自分たちがワクワクするクリエイティブで面白い発信を続けます。渋谷にクライメートクロックを100個置いたら、絶対に変化が起こるはず。気候変動へのアクションは当たり前で、それはめっちゃカッコいいよね、という文化をつくっていきたいです」とまっすぐに話す。