アメリカのホワイトハウスは12月7日、来年2月に開幕する北京オリンピックに政府関係者を派遣しない「外交的ボイコット」を正式に発表した。アメリカ選手団の派遣には影響はないという。
サキ報道官は定例会見で「新疆ウイグル自治区における中国政府による人道に反するジェノサイド(大量虐殺)や犯罪行為、人権侵害を鑑みて、バイデン政権は2022年の北京オリンピックに政府代表団を派遣しない」と表明した。
「外交的ボイコット」とはどんなものか。
外交的ボイコットとは
オリンピックでは通常、参加国の要人や政府代表団が派遣される。今夏の東京オリンピックでは、ジル・バイデン大統領夫人がアメリカの政府代表団を率いて、開会式に出席。2018年の平昌オリンピックではペンス副大統領が開会式に出席した。
今回の外交的ボイコットで、アメリカの政府関係者は誰も、開会式や大会に参加しないことになる。
外交的ボイコットと引き合いに出されるのが、アメリカが呼びかけた、1980年のモスクワオリンピックのボイコットだ。ジミー・カーター大統領がソビエト連邦のアフガニスタン侵攻に抗議して、大会への不参加を表明。この時は選手団も派遣せず、「全面的なボイコット」となった。日本も同調し、選手団を派遣しなかった。
2008年の北京オリンピックなどでも
2008年の北京オリンピックでも、直前に起きたチベット騒乱を受け、ヨーロッパを中心に各国首脳が開会式に出席するべきかどうか、議論が起きていた。
ロイター通信によると、ドイツのアンゲラ・メルケル首相や、イギリスのゴードン・ブラウン首相(閉会式は出席)が「欠席」を表明した。
アメリカでは、ジョージ・W・ブッシュ大統領に開会式の出席をボイコットするよう求めるデモや動きが広がったが、ブッシュ大統領は予定通りに出席した。出席するかどうか揺れていたフランスのニコラ・サルコジ大統領も、最終的に出席した。
また、2014年のソチオリンピックでは、アメリカのバラク・オバマ大統領やフランスのフランソワ・オランド大統領らが、大会や開会式への出席を見送った。
前年、未成年に対する同性愛の宣伝行為を禁止する法律を制定したロシア政府への抗議が背景にあるとみられていた。