11月11日の「独身の日」をめがけて中国で開催されるEC(ネット通販)安売りの祭典で、EC最大手のアリババは、期間中の流通総額が5403億元、日本円にして約9兆6000億円にのぼったと発表した。前の年より7500億円ほど増加した。
■9兆6000億円
中国では、11月11日をめがけて実施される安売りセールを、日付にちなんで「ダブル・イレブン」と呼ぶ。始めたのはEC最大手・アリババだが、競合の京東(ジンドン)なども参加し、激しい競争が繰り広げられる。
アリババは12日未明、期間中(1日〜11日)の流通総額の合計は5403億元、日本円にして約9兆6000億円だったと発表した。去年の同じ時期と比べ421億元(7493億円)ほど積み増した。
アリババの楊光・副総裁は発表で「プラットフォームとして、我々はダブル・イレブンの力を借りて社会への責任を履行し、持続可能な未来を築くためのコミットメントを体現した」などとコメントした。
アリババは例年、最終的な合計金額の前に、11日未明時点での予約販売などの合計金額を速報していた。例えば2020年では、まず1日から11日午前0時半(現地時間)までの累計が3723億元と発表。その後、最終的な流通総額が4982億元になったとしていた。
一方で2021年はこの速報部分が取りやめになり、最終的な金額が発表されるか注目されていた。
また、業界2位の京東は期間中の流通総額が3491億人民元(約6兆2000億円)だったと発表した。
■「グリーン」と「低炭素」がテーマだった
アリババは2021年のダブル・イレブンで「緑色(グリーン)」と「低炭素」を前面に打ち出した。エネルギー効率などに関する中国国内の認証基準をクリアした商品、およそ50万点を並べた「緑色会場」を初めて設け、クーポンなどを通じて低炭素などを意識した購買体験を広める施策をとった。
発表ではそれに加え、アリババのクラウドセンターが再生可能エネルギーを使うことで、二酸化炭素排出量を2万6000トン減らすことに成功したとした。
また、参加したおよそ29万のブランドのうち、中小企業や新興メーカーなどの占める割合が過去最高の約65%となったことや、農産品の流通総額が増加した点についても強調した。
習近平指導部は、二酸化炭素排出量を2030年までにピークアウトさせ、2060年に実質ゼロを達成する計画を立てている。また、8月には「共同富裕(共に豊かになる)」という格差是正のスローガンを打ち出していて、こうした取り組みの背景には、自社の活動が習近平指導部の意向と一致することを示す狙いもあるとみられる。