10月31日投開票の衆院選に合わせて、最高裁判所の裁判官の「国民審査」も実施されます。
今回の審査対象は、前回の審査(2017年10月)後に任命された11人(告示順に深山卓也、岡正晶、宇賀克也、堺徹、林道晴、岡村和美、三浦守、草野耕一、渡辺恵理子、安浪亮介、長嶺安政の各氏)。
11人の経歴と、夫婦別姓訴訟など注目を集めた裁判でどんな判断をしてきたか、まとめました。
11人、どんな顔ぶれ?
1954年9月2日生
元・東京高裁長官
2018年1月9日 最高裁判所判事
■岡正晶氏
1956年2月2日生
弁護士出身、元・第一東京弁護士会会長
2021年9月3日 最高裁判所判事
1955年7月21日生
元・東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年3月20日 最高裁判所判事
■堺徹氏
1958年7月17日生
元・東京高検検事長
2021年9月3日 最高裁判所判事
■林道晴氏
1957年8月31日生
元・東京高裁長官
2019年9月2日 最高裁判所判事
1957年12月23日生
元・最高検検事、元・消費者庁長官
2019年10月2日 最高裁判所判事
■三浦守氏
1956年10月23日生
元・大阪高検検事長
2018年2月26日 最高裁判所判事
1955年3月22日生
弁護士出身
2019年2月13日 最高裁判所判事
1958年12月27日生
弁護士出身
2021年7月16日 最高裁判所判事
1957年4月19日生
元・大阪高裁長官
2021年7月16日 最高裁判所判事
1954年4月16日生
元外交官
2021年2月8日 最高裁判所判事
夫婦別姓訴訟、どう判断した?
最高裁大法廷は2021年6月、夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定について「合憲」との憲法判断を示しました。15人の裁判官のうち、11人の多数意見でした。4人は「違憲」と判断しました。
今回の審査対象の11人のうち、「合憲」と判断したのは、深山氏、林氏、岡村氏、長嶺氏の4人。
「違憲」と判断したのは、宇賀氏、三浦氏、草野氏の3人。岡氏、堺氏、渡辺氏、安浪氏は当時、就任前でした。
また、「一票の格差」が最大3倍だった2019年7月の参院選について、選挙の無効を求めた裁判の憲法判断も、注目を集めました。
最高裁大法廷は2020年11月、「合憲」の判断を示しました。15人の裁判官のうち、10人の多数意見でした。
今回審査対象の11人のうち、「合憲」としたのは、深山氏、林氏、岡村氏の3人。草野氏は「条件付きの合憲」、三浦氏は「違憲状態」、宇賀氏は「違憲」と判断しました。岡氏、堺氏、渡辺氏、安浪氏、長嶺氏は就任前でした。
その他にも様々な判断をしており、最高裁のサイトでは、各裁判官が関わった主要な裁判や、「裁判官としての心構え」なども紹介しています。
国民審査とは?
総務省は国民審査について、最高裁判所の裁判官が「その職責にふさわしい者かどうかを国民が審査する解職の制度であり、国民主権の観点から重要な意義を持つもの」と説明しています。
国民審査では、審査を受ける裁判官の氏名が投票用紙に印刷されています。裁判官ごとに、辞めさせたい意思があれば「×」を記載、なければ何も記載せずに投票。「×」以外を記載した投票は、無効になります。
「×」が記載された票が、何も記載されていない票の票数を超えた場合、その裁判官は罷免されます。(ただし、投票総数が選挙人名簿登録者数の100分の1に達しないときは、この限りでありません)。